こんな一種の本狂ひ、(私自身としてハ相当内容のあるもの許り買い入れてゐる積りであるが)
になったのも、頭の軟い時分に、幾分厭世的な、(多分にあるかもしれない)
彼が、こびりついたのであらう。
外に出て、飛び歩くことをしないで、図書を眺めて一日を送る様になったのも、
彼の故かもしれない。
徹底的に馬鹿で暮らしたボート生活で、中和されたとは云え、
まだまだG[ギッシング]の方が大きい。
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私の今日のバラバラな性格は多読にあったのだとも云へる。
この弱い性格は確かに、1つのものが、未だ消化し切れない内に、他のものを要求する為だ。
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大塚虎男の学界異聞に、ユーモア全集の表紙をつけたので、可也気持ちの好い本になつた。
クロースがふかふか質のよいものだから、しつかりして好い。
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女の日記はとてもよかつた。Mによませたい。Mはよんだことがあるかしら。
いはヾ感性の世界。感性の世界に生ききつている女の姿だ。話たし。夜通しでも話たし。
肉体の交渉のない男女の友情と云うものありや。
少なくとも私は、Mとはそんな交渉なしにすませたい。急にMと駄弁りたいという気持ちになる。
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矢張り Flau [frau 妻]を貰うこと。俺を落ち着かせるには、それより他に道はない。
★一読書人の日記/スムース文庫★
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