「東京日和」に出演できるっていう時に、小津監督の、小津監督には申し訳ないんですけど、
小津監督の映画に出られるってことよりも、原さんとご一緒出来るってことが嬉しくってね。
まず、それが第一だったんですよ(香川京子)
◇
あのねぇ、小津先生ってね、素敵なんですよ。
もうお年はね、私とはもうだいぶ離れてましたけど。
映画監督と俳優なんて、今のディレクターとはあれとはまったく違って、
そうみだりにそばに行ってこうしゃべったり出来ないですからね、
別にして怒られる訳じゃないですけど、どことなく遠くの方から眺めてるっていう。
なんかねぇとにかく毎日ね、真っ白なんですよ、この着てらっしゃるものが、有名ですけどね。
洗いたてのもう、あのこうピキッというのかしら、とにかくパリッとした木綿のもう。
帽子から、もうY シャツから。パンツね、ズボン。靴まで全部真っ白でね(若尾文子)
◇
(原節子さんは)もうとてもきさくな方で。
あの、ビールはお飲みんなる、コーヒーはお飲みんなる、煙草はお吸いになる。
私にしてみれば、全然想像していなかった人物でした。
でもとても優しくて。
あの、コーヒーはあんまり飲むと駄目よ、色黒くなるから、とか
ビールは駄目よ、太っちゃうから、煙草は駄目よ、これは声が悪くなる、
っていろんなことおっしゃって下さって。
本当に優しい方でした、本当に(岡田茉莉子)
◇
モットーは声をかけていただいた仕事は断らないこと。
(役柄とかの設定とかをこう台本で読んでいていらっしゃる時に、
これはちょっと違うような気がする、とか自分がこの女性だったら、
こんなことしないんじゃないかな、とか考えられたことはないですか?)
考えない、私は。
(どうして考えないんですか!?)
だって書いてあるんですもの。こういう女だって。
(これはもう全面信頼、ということですか?)
そうです。だったら自分が書いたらいい、と私は思うの。
だからそのくらい単純なのよ、私の考えは(淡島千景)
★小津が愛した女優たち★
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