●北野の森において、向こう十日間、天気次第で大茶会を催し、
御名物どもを残らず取り揃え、数寄執心の者に見せる。
●茶湯執心とあらば、若党・町人・百姓以下によらず、釜一つ、釣瓶一つ、呑物一つでもよい。
茶のない者は、こがしでも苦しゅうない。持参すべし。
●茶湯の座敷は北野の松原だから、畳二畳敷で事がすむ。
ただし、侘び者は、稲掃でも、筵でも苦しゅうない。茶座の順序などは自由でよし。
●日本の事は申すに及ばず、いやしくも数寄の心がけある者は、唐国の者までも、まかり出よ。
●このように仰せ出だされたのは、侘び者を不憫におぼしめされてのことだから、
このたびまかり出ない者は、今後、こがしを点てることも無用である。
まかり出ない者の所へ参ることも無用と心得よ。
●特に侘び者とあらば、誰々、遠国の者に括らず、
秀吉公のお点前でお茶を下されるはずだ。
★千利休/赤瀬川原平★
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