宿題
目次(最近)|
目次(一覧)|
past|
next|
2004年02月12日(木)
夜中の薔薇/向田邦子
クリスマスの夜など、きげんのいい父は、母にも葡萄酒をすすめることがありました。
「たまには、お前もつきあいなさい」
母は自分用のごくごく小さいワイングラスに半分ほどつぎ、白砂糖を入れてお湯を注ぎます。
母はまったくの下戸なのですが、こうするとおいしいといっていました。
小さい赤いグラスがカラになる頃、母の顔は代りに赤くなります。
どういうわけか足の裏がかゆくなったといって足袋を脱ぎ、笑い上戸になりました。
私たち子供は、そういう母をちょっと綺麗だなと思い、浮き浮きした気分で見ていました。
★夜中の薔薇/向田邦子★
|
|