でもその人が歌い出したら、ほかのことをみんな忘れたわ。
その時の気持ちはとても言い表せないわ。
ただね、いい子になるなんてちっとも難しくないって思えたのよ。
星を見上げてる時と似ているの。涙があふれてきて、でもねぇ、
それはとっても幸福な思いの涙だったの。
終わった時には、すごく名残り惜しくてバーリー伯母さんに、
もう二度と平凡な生活に戻れそうもないって言ったの。
バーリー伯母さんは、通りの向こうのレストランに行って
アイスクリームを食べたら直るかもしれないとおっしゃるの。
何てつまらないことを言うんだろうと思ったわ。
でも、驚いたことにその通りだったのよ。
アイスクリームはとてもおいしかったし、
夜の十一時にアイスクリームを食べながらレストランにすわっているのは、
とっても素敵で気晴らしになったわ、マリラ。
★赤毛のアン/モンゴメリ★
■篠崎書林の谷詰則子訳のもの。 映画より数倍アンのおしゃべりに迫力が (1、2ページ続くこともたびたび)。
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