矢口「鈴木さんとはもう今まで脚本は一緒に書いてきたけど、一緒に演出したことはなくて」
鈴木「なかったです」
矢口「で、すごいやってみたかったんです」
鈴木「ああ」
矢口「で、結果ねえ、もう二度と一緒にできない」
鈴木「二度とこれ以上、今回のパルコフィクションは決定的な溝?」
矢口「最後!うん!」
鈴木「(ちょっと息をのんで)それは、なぜ?」
矢口「つうかね、だからそれまでは、僕がイニシアチブをとって、『秘密の花園』と『裸足のピクニック』」
鈴木「ええ」
矢口「決定権は僕が持ってた。だから参加してもらう、っていうかたちでやってきたけど」
鈴木「そうですね」
矢口「あの、完全に鈴木さんがやりたいのはこうだ、僕がやりたいのはこうだ、っていうのって、
ぶつけると本当に水と油というか、えらい差があるんだっていうことがはっきりして、
同じひとつのアイデアを完全に共同で、共有しながら作るっていうのはもう絶対できない、
っていうのがわかりました」
鈴木「や、逆に、今まで、できると思っていた、のか、きみは」
矢口「思ってた」
鈴木「そうか…悪かった」
矢口「だからあなたは、これから一人で作っていって下さい」
鈴木「うー、ん、いや」
矢口「(笑)すごいさびしそうだね」
鈴木「はなからそのつもりだよぅ」
矢口「あ、そっか。(笑)泣きそうな顔になってるよ」
鈴木「俺たち二人は兄弟舟にはならなかったかもしれないけれど」
矢口「(笑)本当に涙ぐんでるよ」
鈴木「あーそお?いや照明のせいだと思うよ」
矢口「あ、そうですか。きらきらしてる、目が」
鈴木「うん、それは君のことが好きだからだよ」
矢口「うわ」
鈴木「うわ、気持ちわるっ、うえ」
矢口「うえ、ひひひ」
★パルコフィクション/矢口史靖×鈴木卓爾★
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