母は父の「顔立ちの可愛らしいこと」と「知識が豊富なこと」
に非常に重きをおいて、今日に至るまで娘達に自慢し続けてきた。
漫画は一切読まない主婦で、心から素直に
「パパは絵が上手に描けて素敵ね」と尊敬してきた。
私が四歳の頃、父が社長の時代に「スタジオ・ゼロ」が廃業になったり、
児童漫画に不遇の時代が到来し、合わせて父の仕事がグッと減ったらしいのだが、
後に母は、「私はなーんにも不安じゃなかったわ」と楽しげに語っていた。
マンガ家の奥さんというのは、このくらい俗界を超えておおらかな人で
”当たり”なのだと思う。
★こっそり愛読した父の作品/藤本匡美★
■SF短編PERFECT版1巻から。
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