(高校卒業してすぐに家出した話で)
小野 だって、アルバムとか全部川に捨てて出ていったんですよ。
自分の存在を全部抹殺して出ていったって、お母さんいってましたよ。
友部 抹殺っていうかゼロから始めようってことだよ。
小野 名前まで変えちゃったんですから。友部って本名じゃないんですよ。
(6ヶ月アメリカで生活して何かつかまえたかと聞かれて)
友部 だからつかまえたんじゃなくて、失くしてきたんでしょうね。
それまで持ってきた自分の中の日本を失くしちゃったんでしょうね。
帰ってきて、しばらくはぼーっとしてましたよ。
小野 なんか荒んだ感じでしたよ。マネージャーの人がホテルをとってなくて、
泊まるとこがないっていうから、ウチ近かったんで泊めてあげたんですね。実家に。
で、この部屋で寝てくださいっていったら、寝袋で寝てるんですよ。
変な人だなあと思いましたよ。
友部 日本をアメリカに置いてきちゃったような感じだったから、
どこかに腰を落ち着ける気分にはとてもなれなかったんですね。
でも彼女の家に泊めてもらったとき、わざと寝袋忘れて行ったんですよ。
また会う口実つくるために(笑)。
(で、その後すぐに結婚したという話で)
小野 居場所がほしかったから結婚しただけだよね。
友部 そう、ね(笑)。いや、ほんとそうかもしれない。
小野 だって恋愛とかじゃなかったもん、感じが。
友部 そうそう、あ、頼りになるものがあったって感じ。
小野 なんか漂流してる人が、木とか岩にしがみつく感じ。
そのとき、私、19歳だったんですけど、すごく頼られてるような感じしたもん。
★友部正人&小野由美子/中洲通信 No.176★
■小野由美子さんっていうのは、友部さんの奥さん。
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