食堂は、十字路の角にぽつんとひとつ灯りをともしていた。
私がこの町に越してきてからずっとそのようにしてあり、今もそのようにしてある。
十字路には、東西南北あちらこちらから風が吹きつのるので、
いつでもつむじ風がひとつ、くるりと廻っていた。
くるりと廻って、都会の隅に吹きだまる砂粒を舞い上げ、
そいつをまた、鋭くはじき返すようにして食堂の暖簾がはためいていた。
★月光密造通信/クラフト・エヴィング商會★
■「月光密造通信」に載っていた『つむじ風食堂の夜』の中の一節から。 これは吉田篤弘さん一人名義の作品みたいです。 で、吉田浩美さん一人名義で『a piece of cake』という作品が。
どちらかと言うと私は吉田篤弘さんのファンだったのかなぁとか、気付きつつ、 でも紀伊國屋画廊での『a piece of cake』の展覧会は楽しみにしていたり。
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