父、つまり僕は、子どもの本“絵本”の編集者で絵本がとても好きなのであるわけで、
その子どもは、さぞかし厳選された“いい絵本”を与えられているのだろうなと思いきや、
何をかくそう敢えていおう。
父は大切な絵本は、子どもの手の届かない本棚の奥底にかくしてしまうのでありました。
◇
僕が親として子どもをとりまくエンターティメントを見ていると、見事に節操がないわけで、
いってみればなんでもアリ、なんでもOK。
僕としては並べるのもイヤなのですが、ウルトラマンの絵本と長新太の絵本というのは、
子どもの中では、わけへだてなく併存していて、実際に子どもの本棚に並んでいるのです。
そこで僕ら親は、子どもの美意識というものに期待してしまうわけですが、
◇
僕は、子どもに「どうだオモシロイだろ!」といって父の好きな絵本を見せるわけです。
そんなときの子どもは、ちゃんとカケヒキができていて、「オモシロイ」といえば
父が喜ぶことは、わかっているので「オモシロイ」というわけです。
◇
子どもが、「長新太の絵本が、井上洋介の絵本が、ススキコージの絵本が、片山健が、
木葉井悦子が好き」なんていってこられると、それは、なんか大人びて見えて気持ちワルイ気がする。
★絵本の周辺/土井章史★
■土井さんはトムズボックスの主宰の人。
|