いつも見ている雑誌、つづきを読みたくてじれったいほどイライラ待ちつづけていた
次の号が平積みしてあるのを見つけた時のあの感じ、
それから、装丁に魅かれいままで読んだことのない作者の最初の三行を読み、
ああどうしてこれを読もうとしなかったんだろうと悔やみ、同時にそれを見つけて
良かったと胸をなでおろし本をもってレジへ軽いステップで歩いていくその感じ、
レジの前に並びぼくの前でカウンターに本を置いた地味なOL風の女の子選んだものをなんとなくのぞいてみると、
ジェイムス・スティーブンズの『小人たちの黄金』とジャック・フィニイの『ゲイルズバーグの春を愛す』と
岡本かの子の『老妓抄』なのでまるで十五年もつきあっていたのにあまりに気が合いすぎて
とうとう恋人になりそこねた女の子に久しぶり会ったようになつかしく、恥ずかしくなってしまうあの感じ、
★ぼくがしまうま語をしゃべった頃/高橋源一郎★
■この他にもたくさんの「感じ」が書かれ、 「そうそんな感じを味わいたくて、ぼくは毎日のように本屋に出かけるのだ」 と続いてました。
上の二つはわかるけど、三つめのはあこがれ。
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