僕にはここで、時と場所を踏まえながらもルンババを笑わせて、
できたらさらに上手いことルンババを慰められるような冗談を言う必要があった。
いやそんな必要があったかどうかは判らないが、そういう絶妙な冗談を是非とも言っておきたかった。
でもそんな素敵な冗談は、ちっとも僕の頭には舞い降りようとはしなかったし、
どうやらさっき釣り竿を見つけたときにシュー・・・・・・ンと流れて消えた僕の冗談星は、
マジでどっかに消えてなくなってしまったようだった。
◇
「涼ちゃんはたまたま誰にも助けてもらえなかったけど、おめえはいろんな人に助けてもらえるんやってこと、
教えてやるで。俺がちゃんと捕まえてやる。おめえ安心して、こっから飛べや。」
★世界は密室でできている/舞城王太郎★
■カエルブンゲイ/豊崎由美さんメモ。 舞城さんが描くのは『密室から逃れるために闘い、崖っぷちからダイブし続ける永遠の子供の姿』と、 その崖の下には『ダイブする自分を受け止めてくれるキャッチャーがきっといる、 そう信じる無垢な心への絶対的な肯定』である。
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