ずっと、ずっと大昔
人と動物がともにこの世に住んでいたとき なりたいと思えば人が動物になれたし 動物が人にもなれた。 だから時には人だったり、 時には動物だったり、 互いに区別はなかったのだ。 そしてみんなが同じことばをしゃべっていた。
その時ことばは、みな魔法のことばで、 人の頭は、不思議な力をもっていた。 ぐうぜん口をついて出たことばが 不思議な結果をおこすことがあった。 ことばは急に生命をもちだし 人が望んだことが ほんとにおこった―――
したいことを、ただ口に出して言えばよかった。 なぜそんなことができたのか 誰にも説明できなかった。 世界はただ、そういうふうになっていたのだ。
★魔法のことば/柚木沙弥郎★
■絵本作家・柚木沙弥郎さんのデビュー作。 柚木さんは当時72才。72才の新人絵本作家。
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