初めて会ったときも、最後に会ったときも武満はベッドの上だったが、
彼の内なる「健康」は、身体の病によっても損なわれることはなかった。
それが、この日記を明るく豊かなものにしている。
立ち去った後も、武満は私たちとともにいると感じさせてくれる。
「明日の朝はもうこれを書くまい。/晴れてくれればいいが。」
と日記は結ばれているが、この二行は彼の音楽のコーダのように美しく響く。
彼はまたこうも書き残してくれているのだ。
「[希望]は持ちこたえていくことで実体を無限に確実なものにし、終わりはない。」
★武満徹「サイレント・ガーデン」前書きより/谷川俊太郎★
|