夏の太陽がすべてをもやし、砂がはだしの足をやくときには、
自然はばっちりと目をあけていて、とってもいきいきしてる。
木はあたらしい葉をだす。鳥はとおくまでとぶ。動物や昆虫は、はしったり、とんだりする。
そして子どもたちは、自分のまわりに、あたらしいおどろきの世界をはっけんするのだ。
けれども、冬になると自然はねむる。
自然が夢をみているあいだに、霧があらわれる。
霧のなかをあるくのは、自然がみている夢のなかへはいっていくようなものだ。
鳥たちは、方角をまちがえるといけないから、とおくまでとばない。
車のライトも、交差点の信号も、よくみえない。
自動車やバスはゆっくりとうごかねばならず、それでも、ちらっとみえたかと思うと、
もう姿をけしている。
夜になると、赤、緑、黄色の光が、あたりをすっぽりとつつむ霧に色をつけ、
なにもかもが、夢の国のできごとのようにみえてしまう。
家のなかにいるときだけ、人や動物は、いつものような暮らしができる。
★きりのなかのサーカス/ブル―ノ・ムナーリ★
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