ただ今、私の手元には、大川隆法主催が執筆なさった本が十九冊ある。幸いである。
私が買ったものは一冊もない。これまた幸いである。
すべて他人からのいただきものである。これまた幸いである。
この幸いを逃してはならないと思い、ザッと目を通した。ザッとなので、幸いが訪れるとしても、
ザッとやってくると思う。
しかし、読んでよかった。私にひとつの悟りがひらけたからである。
(もっとも私は悟りをひらくのが趣味で、このエッセイの連載中にも、
すでに3回は悟りをひらいている、めずらしいことではない)。
このたびの私の悟りは、「しまった!人生、この手もあったか」であった。
というのは実は今、私は大川隆法主催と同年齢の三十五歳で、劇団夢の遊眠社主宰である。
そればかりではない。
同じ時期に東大法学部に籍をおき、むろん大川隆法主催は立派に卒業され、
私はミエをはりたい一心で中退したというささいな違いはある。
しかし、人々を集めて芝居をして金をふんだくったうえに、他人に夢を売っているなどと公言して
はばからないところなどそっくりである。
しかも、出たがりで出しゃばりで、恥知らずである。
★この人をほめよ◇大川隆法さんの巻/野田秀樹★
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