門松の三本の竹はね、長さが七対五対三なんだ。
日本の美は、だいたいその七五三のバランスだ。シンメトリィではない。
バランスを崩すところに美がある。もっと崇高なバランスがある。
法隆寺の伽藍配置、それに漢字の森という字もだいたい、三つの木の大きさが七五三だね。
東西南北という文字だって、左右対称を全部、微妙に崩している・・・。
最初からまったく非対称というのでは駄目なんだ。対称にできるのに、わざとちょっと崩す。
完璧になれるのに、一部だけ欠けている。
その微小な破壊行為が、より完璧な美を造詣するんだよ。
★封印再度/森博嗣★
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