「まあ、赤い人!!」
「こんにちは 地獄から調査に来たアクマです。」
「地獄?」
「あのボーボー燃えてる球です。」
「太陽!?」
「天気のよい日は 仕事や勉強がバカらしくなるでしょう。
大人なら 昼間会社をさぼって酒を飲んでみたり・・・・・・それは全部アクマの誘惑です。
夏はかき入れ時です。がんばってます。
でもあなたは悪いことをしてくれない。そのわけを調査に来ました。
昨日の朝はスガスガしい天気でした。日本で2万人の人がさぼりました。
だのにあなたはプールに行った・・・・・・。」
「ええ、行ったわ。だって私は小学生だもの。」
「昨日の昼は暑くてたまらなかった。日本で5万人の子供が、アイスやジュースを食べすぎました。 だのにあなたは自分の分を妹にあげた・・・・・・。」
「ええ、あげたわ。だって私はお姉さんだもの。」
「昨日の夕方はとてもすずしく、日本で7万匹の蚊がはたき落とされました。
だのにあなたは逃がしてあげた・・・・・・。」
「ええ、だって少しくらいの血ならガマンできるもの。」
「ムムム・・・・・・つまりあなたは、
『朝の小学生』であり、『昼のお姉さん』であり、『夕方のえさ』でもあるのですね。」
「?」
「いろいろとご苦労なさっているのに大変申し上げにくいのですが、手前どもの資料には
『夏休みの女の子』としか書いておりません。」
「私も!?無邪気にはしゃいでいるだけの女の子ってこと?」
「ショックでしたか、スミマセン。」
「きっと、楽しいのでしょうね。楽しいだけでいいのでしょうね。
夏休みの女の子はそれだけで充分なのだわね。
小学生には義務が、姉さんには責任が、えさには栄養が、ついているけれど
私は夏休みの女の子なのね!!」
「・・・・・・あのう、地獄の方・・・・・・さしあたって、
私、銀行でも、襲ってきましょうか。」
★任務完了◇H vol.46/関根美有★
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