○プラシーヴォ○
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2002年02月28日(木) ガラガラジンジン

電話口でハム男が

「風邪をひいたみたいだ」

コフコフ、と咳をしていた


風邪、と聞くとイソジンを思い浮かべる


2年前、まだ手も繋いでいなかったころ
あまりにも私の仕事が多忙で
逢えない日々が続いていた

ハム男が
職場の近くで食事をしよう、と
わざわざ来てくれた

撮影に備えて小道具をチェックする手をとめて
ハム男のもとへ行った

寒い風の中で
ハム男が手をふっている


居酒屋に入り、おしぼりで手を拭いていると

ドン!

目の前に超巨大なイソジンうがい薬が現れた

パチンコの景品かなんか?
と笑う私に
ハム男が驚いた顔で言い返した

「さっき電話で
 風邪っぽいって言ってたから…
 俺、風邪っていうと
 イソジンしか思い浮かばなくて…」


例えば職場で

カゼヒキマシタ

と言うとする

オー、ダイジョウブカ?

と、皆とりあえず言ってくれる

でも

倒れるなよ
倒れたら俺が代わりに撮影にいかなきゃならない
そんなの無理だ

風邪うつすなよ
スケジュールつまってて
休めないんだから

咳するなよ
音声さんに迷惑だからな


と、いう無言の声が
ビッシビシ聞こえてくる

しょうがないけど
しょうがないことだけど


だから、こんなにアッサリと心配してくれることが
嬉しかった

普通のことだろうけど
嬉しかった

私は、なんて普通じゃない世界で
働いているんだろう

この人は、なんて普通なんだろう

普通って、なんて気持ちいいことなんだろう


私は、まだ暖かいおしぼりで
ノーメイクの顔をぐいぐいと拭いた

「…オッサンみたいやな」

とハム男が笑う


えへへ、と笑いながら
なかなかおしぼりが顔から離せない


だって、
涙がとまらない


がちゃ子 |偽写bbs

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