○プラシーヴォ○
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「あなたはいつだって素敵よ」
末期ガンに犯されてガリガリに痩せた旦那さんが 「こんな体になっちまった」と 自嘲的に笑いながらヨロヨロと階段を降りる
その手助けをしながら 奥さんが本当に自然に言った一言だった
家族が突然、末期ガンだと宣告されたら…?
その番組では 旦那さんが息を引き取る瞬間までもを撮影していた バルコニーにベッドを出して、太陽の下で家族全員と話をしながら 旦那さんは天国へ行った。
泣いている声が聞こえた。 私の声だった。 私は、目が熔けるほど泣いていた。
最近体の調子が良くないハム男。 半年ほど前に病院に行った時には 特に異常は見つからなかった。
一度、NHKの特集で見た、喉頭ガンの症状が まさしくハム男の今の状態とぴったりで 私はそれを思い出してまた泣いた
もし今ハム男が倒れたら 関西に身よりの無いハム男は きっと、九州の実家に連れ戻される
ハム男の家族と一度も会ったことのない私
もし、ハム男の意識が無くなったら どうやって会いにいけばいいの? 私も九州にずっと泊まりこむの? それよりなにより、家族の方が私に連絡してくれるの?
私はなんて弱い立場なんだろう
結婚していないと 他人なんだ
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