○プラシーヴォ○
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2001年08月20日(月) あなたは誰ですか

10日ぶりにハム男の顔を見た。

里帰りしている期間中、ほぼ毎日
海に潜って魚や貝を獲っていたせいか、
肌はまるでアーモンドのような色

潮で焼けて髪も全体的に色素が抜けていた。
別人のようで緊張する。

「蓋のところがこんなにでっかいサザエがいてさあ、
がちゃ子にも見せてやりたかったよ」
と人差し指と親指で輪をつくり、私の目の前へ出す。

きっと、18歳で大阪にでてくるまでは
ずっとずっとこんな肌の色で、
スコーンとした笑顔で、
波で岩にぶつかったときの傷なんて絶えることなく
のびのびとしていたんだろうなあ。

お気に入りの焼き鳥屋で、
高菜入りの鳥雑炊を食べるハム男の横顔に言ってみた。

「ハム男、実家にいる方が調子良さそうだね。
なんだか電話の声も元気そうだったし・・・」

本当はずっといたかったんじゃないの?

ハム男は、雑炊についてきた小皿に入った漬物を
私の方へ差し出しながら、
「そりゃあ、こっちにいる時と違って
おふくろが食事を用意してくれるし、
仕事に行くわけでもなし・・・
心身共に、楽ちんだったけど、とにかく退屈だった。
雨が降って海に行けない日なんて、
1日中、うちのワンコとしゃべってたもん
それに・・・」

お茶碗をぐっと傾けて、最後まで飲み干すと
ハム男は鳥スープのせいで少し湿った声で続けた
「それに、あっちにはがちゃ子がいない。
それが嫌だな」

飲み込もうとしていたキムチが気管に入りそうになった。
驚いた。
なんて可愛いセリフを言ってくれるのかしら。

目を丸くする私を見て、ハム男が笑った。
「うちのワンコ・・・シーズーっていう鼻がぺちゃんこの・・・
あ、がちゃ子が飼ってたのと同じワンコがさ、
イビキががちゃ子にそっくりでさあ〜」

は?

「んごっ!んごごっ!って言うんだよ〜
それ聞くたびに、がちゃ子を思い出したなあ」

ワンコのイビキを聞かないと、
思い出されないような女なんスか?アタイって。

車にのると、肩を抱いてキスをした。
そ・・・そんなことしたことないのにっ!
どうしたのお?!
あんた、誰?
まさか双子の兄弟ですごいジゴロ(死語)・・・?

車から降りて歩いている最中にも
私の腰を引き寄せてキスをする。
おかしい。
おかしいよハム男。

ハム男の部屋に戻って、キスをする。
セックスの間も絶え間無くキスをする。
私の顔を両手ではさみ、キスをする。
初めて見たとてもとても感情的なハム男。

私と久しぶりに会えて嬉しいということを
無言で言ってくれているのだと
そう、解釈しよう。


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