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■ 「ご主人さま」
夫の取引先の関係の奥方が趣味で開いた個展に行く。
楠田枝里子似のすらりとした奥さまで、とてもこの夏「お祖母さん」になったとは思えない。
作品は本人はファブリックアートと呼んでいるが、刺繍やアップリケを大きな絵画風の作品に仕上げたもの。
今もやってるかどうか知らないが『クロワッサン』の「黄金の針賞」にでも応募するような路線のものだ。
ギャラリーは2F。 階段を昇って行くと地味な黒地のお着物にざっくりとした織りの半幅帯を締めて、嫣然と微笑む「先生」が奥にいらした。
やはりハイソな方からはオーラが出てる。
そうか、やっぱりな。 50代になったら、普段も着物よ。
「今日はおきものなんですね」というと
「だってほら、ムスメが……」
そうだった、お嬢さんが北陸の呉服問屋にお嫁入り。 実家の母たる彼女にできることの中で一番喜ばれるのは、ムスメの嫁ぎ先からばんばんお着物を買って差し上げることなんだそうな。
帰り際「ご主人さまにも、どうぞよろしく」と頭を下げて言われ、ああ、そうそう他人はそりゃあ「ご主人さま」と呼ぶでしょうよ、となんとなく可笑しい。
2002年11月12日(火)
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