遠距離M女ですが、何か?
井原りり



 『最終兵器彼女』

恥ずかしながら、年がいもなく、VIDEO屋にあったものだから、わずか30分で、新作だから100円増しの、2泊3日しかだめなのに、借りてきた。

さっさとムスメが先に見る。

「まあ、ありがちな、想像通りの展開だったね。嫌いじゃない……。好きかもしれん」

なんつーか、生意気な物言いだな。中学生だってのによ。
さすがはうちのムスメだ。


わたしは、というと、返却予定日の閉店時間は過ぎたのに、見てない。

いいや、明日の開店前までに、店頭のポストに入れれば、延滞にはならない。

舞台は小樽?

地獄坂って言ってたぞ。
地獄坂の上にあるのは「小樽商科大」?
高校があるのか?
まあ、でもマンガだしい……。

その昔、現代国語の教科書に伊藤整の『ある詩人の肖像』が載っており、けっこう読み込んだつもり。

小樽って好きだ。
今年、2回も行ったし……、仕事でだけど。


『新世紀エヴァンゲリオン』の「第三東京市=箱根」って、設定にはのけぞったがな。
そうか、最近ってみんなこんな感じなのか?

だったら「ヤマモトヨーコ」もそうだったのか?
うー、すべてをおっかけるわけにはいかないからな。


こっちも年齢相応に、はまり込む作品を選ばねばならん。


夜中にビデオを見ながらマニキュアを塗る。

しかも10本ある指のうち、たった2本だけにマニキュアを塗る。


いはらに云われるまで、あたしの生活の中になかったもの。


できあがった習慣の中に割り込んでくる、新しい習慣やしきたり。


自分の生き方は自分だけで決める。
誰にも指図されない。

そう思っていたのは、子どものころのこと。

マニキュアが乾くまでは何もできない。

少し動いても何かに触れる。せっかく塗ってもぼこぼこになっちまう。


マニキュアが乾くまでの時間
ただじっといはらのことを考える


習慣も時間も自分の思い通りにならない幸福。


くすぐったいようなパラドクス。





2002年10月15日(火)
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