2008年10月27日(月) |
解散先送りで、麻生 内閣 に 「 レームダック化 」 の不安 |
「 人生は解かれるべき問題ではなく、経験されるべき現実である 」
セーレン・キルケゴール ( デンマークの哲学者 )
Life is not a problem to be solved but a reality to be experienced.
Soren Kierkegaard
早ければ 11月上旬 と言われた 「 次期衆院選 」 が、年を越しそうである。
週末までに、首相の口から、明確に 「 解散先送り 」 が発表されるらしい。
アメリカ で 「 レームダック [ lame duck ] 」 といえば、直訳の ( 足が不自由なアヒル ) ではなく、慣用句の 「 役立たず 」 を思い浮かべる人が多い。
これが [ lame duck president ] になると、政治用語で、まさに現時点のような 「 任期切れを目前に控えた大統領 」 のことを指す。
任期切れを目前に控えた大統領の政権下では、多くの決定が先送りされ、行政府全体に無気力感が漂い、大方の場合、政治が停滞する。
法案や決議案などの議題もなく、単に日程を消化するにすぎない 連邦議会 のことは、レームダック・セッション [ lame duck session ] と呼ぶ。
日本では、レームダック を ( 死に体 ) と訳して、あまり任期には関係なく、概ね、「 政治基盤が弱体化した内閣 」 の意味で、よく使われる。
解散を先送りする理由として、首相は 「 国際金融情勢が深刻な折に際し、政治空白は作れない 」 と抗弁するが、野党は、それを認めないだろう。
このところ、補正予算案などで与野党の合意が果たせていたのは、政権を奪取したい 民主党 が、早期解散を当て込んでいたからである。
解散を先送りするとなれば、再び与党との対決姿勢を露にし、新テロ対策特別措置法改正案など、重要法案の審議に 「 反対 」 することは必至だ。
そうなると 麻生 内閣 は、せっかく解散を先送りしても、「 ねじれ国会 」 に翻弄され、何もできない レームダック状態 に陥る危険が高い。
まさに、“ 足の不自由なアヒル ” の如く、ぎこちなく地を這うだけで、進展のない 「 死に体 内閣 」 となり、国民は、政治遅延の巻き添えを喰う。
当初、臨時国会冒頭の解散を念頭に置いていたが、金融危機だけでなく、与党の選挙情勢調査が厳しい結果だったことも、先送りに影響したらしい。
そうした邪心が無かったとしても、なりふりかまず政権を手にしたい 民主党 が、国家の非常時だからといって 「 大人の対応 」 をするとは思えない。
すなわち、理由はどうあれ、解散を先送りすることへの反撥は避けられないわけで、それは 「 政治の空白 」 より不具合な 「 政治の混迷 」 に繋がる。
経済の非常時に 「 選挙をしている場合じゃない 」 という理屈もわかるが、それ以上に 「 内輪もめしている場合じゃない 」 ことを心得たほうがよい。
この折、頼りない 民主党 が政権を握るのは不安だが、自民党 としては、いちかばちか、潔く解散総選挙に応じるしか手がないように思う。
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