Tonight 今夜の気分
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2007年05月18日(金) 日本はいつから社会主義国になったのか



「 忙しいだけでは十分でない。 アリだって忙しい。

  問題は、何をしていて忙しいかということである 」

            ヘンリー・デビッド・ソロー ( アメリカの随筆家、詩人 )

It is not enough to be busy; so are the ants.
The question is : What are we busy about?

                           Henry David Thoreau



私の記憶によると、日本は少し前まで 「 資本主義社会 」 だったはずだ。

海外出張へ出掛けている間に、クーデターでも起きたのだろうか。


出版社2社で掛け持ちアルバイトをしていた女性が自殺したことについて、東京労働者災害補償保険審査官が労災を認定した。

女性は杉並区のコミック誌出版社に社員として勤めていたが、2004年9月に新宿区の別の出版社にアルバイトとして採用された。

このため、杉並区の出版社では正社員でなくなり、両社をアルバイトとして掛け持ちしたが精神疾患となり、静岡県内の実家で自殺した。

両親は、労災保険給付を申請したが、新宿労働基準監督署は06年1月に 「 業務と精神疾患に因果関係はない 」 と判断した。

仮に、因果関係があったとしても、「 自殺して当然です 」 などという結論に辿り着くわけがないのだから、この判断は正しい。


ところが 「 東京労働者災害補償保険審査官 」 などという頓珍漢な役人が現れ、先の判断を覆して、愚かにも労災認定をしてしまったのである。

両社合わせた時間外労働が月147時間に及び、自殺の前日に杉並区の出版社社長から 「 兼業を約4時間もしっ責された 」 ことを重視したらしい。

この 「 東京労働者災害補償保険審査官 」 のことはよく知らないのだが、今回の裁定を下した人間は、一体、何を考えているのだろうか。

彼のスローガンは 「 ブルジョアは敵だ! 」 という 旧ソ連 みたいなもので、社会の在り方を根底から覆し、革命でも起こそうというのだろうか。

労働者の味方を気取って資本家と戦いたいのか、さもなくば、よっぽど頭の悪い人間だとしか評価のしようがない。


自殺した人間に労災認定をする必要のないことは、前回の日記でも触れたので、それは別の問題として、ひとまず置いておくことにしよう。

一億歩ゆずって、自殺者に労災認定をするとしても、それを今回のケースで適用することは、まったく道理に合わない。

まず、“ 社員として勤めていたが、別の社にアルバイトとして採用された ” というところに、対象者の 「 仕事に対する倫理観 」 が疑われる。

通常、正社員はアルバイトを禁じられており、まして同業他社の仕事を兼務するというのは、明らかに 「 背信行為 」 とみなされる。

会社は新入社員に対して、時間と労力を費やし、給料まで払って一人前に育てたのに、競合他社の仕事を請け負うなど、もってのほかである。


また、本人が意図する、しないに関わらず、重要な企業秘密や、ノウハウ、情報などが漏洩してしまう恐れも高い。

正社員を外されたのも当然だし、「 兼業をしっ責された 」 のも当然の話で、むしろ、損害賠償も請求されず、雇用の継続を許されたことが不思議だ。

時間外労働が月147時間あったというが、これも、1社ではないわけだし、雇用側に全責任があったとは判断できない。

いづれの会社も、他所で何時間働いているかなど、知る由も無いわけで、本人が希望し、仕事があれば、法定労働時間の範疇で雇用する。

正社員と違って、アルバイトという特性上、勤務時間、勤務先は融通がきくと考えてよいし、長時間労働は本人の意志によると考えて妥当だろう。


けして、「 アルバイトには労災を適用しない 」 と言うつもりはないけれども、この御仁のように兼業をしている場合、それを認定するのは難しい。

正社員も同じだが、「 健康管理も仕事の一部 」 なのであって、働きすぎたから体を壊しましたなんて理屈は、本来、通らないのである。

まして、アルバイトを兼業している時点で、よほど体力に自信がないかぎり 「 体調を崩すのは予測のつくこと 」 であり、自己責任といってよい。

お金が必要だったかどうかは本人の事情によるものだし、それが同情に値するとしても、無謀な労働に対して労災を認める理由にはならない。

労働者を保護することが目的の労災だが、こんな 「 過保護 」 は誰のためにもならず、本来の主旨を逸脱したものと言わざるをえないだろう。


もともと労災は、業務上の事故や、職業病などに対して支払われるもので、無謀な行為や、自業自得の傷病を対象としたものではない。

能力が足りないのに難易度の高い仕事を続けて精神疾患になったり、体力も無いのに長時間労働を引き受けて病気になるのは、本人の無謀である。

しかも、「 病気になったから 」 ではなく、「 自殺したから 」 という尺度により認定を決めるのは、筋違いも甚だしい。

この事例でいうと、気の毒なのは 「 兼業をしっ責した社長 」 のほうであり、何も間違ったことはしていないのに、すっかり悪者扱いである。

今回のような 「 悪しき判断 」 が、日本人の労働意欲を低下させて、経済を地盤沈下させている要因であることを、十分に理解する必要がある。






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