Tonight 今夜の気分
去るものは追わず、来るものは少し選んで …

2004年12月29日(水) プレゼンテーションの極意 その3



「 ずば抜けた仕事をやらないなら、はじめからやるな。

  ずば抜けた仕事でなければ、儲かりもしないし、面白くもない。

  面白くも儲かりもしない仕事をやって、一体何になるんだ。  」

       ロバート・タウンゼント ( エイビス CEO = 最高経営責任者 )

If you don't do it excellently, don't do it at all.
Because if it's not excellent, it won't be profitable or fun.
and if you're not in business for fun or profit, what the hell
are you doing there?

                           ROBERT TOWNSEND



まったくもって、その通りである。

いい加減な仕事で 「 そこそこの 」 実績を挙げても、まるで意味がない。


なんとはなく始めてしまった 「 プレゼンテーションの極意 」 だが、具体的な手法を説いてないので、ちょいと名前負けした企画かもしれない。

技術的な面や、資料作りの ノウハウ については、なかなか文字だけで伝えることは難しく、また 「 すべての人に通用する 」 マニュアル は無い。

あくまでも 「 心構え 」 として、参考にしていただければ幸いである。

今年 ヒット した邦画に 『 世界の中心で愛を叫ぶ 』 という作品もあったが、プレゼンテーション を行う人の スタンス は、まさしくそれにあたる。

自分が 「 世界の中心 」 に位置し、すべての聴衆を巻き込むほどの勢いをもって、その場を魅了するぐらいの情熱と、覚悟があってほしい。


私は外資系の企業に長く勤めていたが、外資では 「 英語の堪能な人 」 か 「 プレゼンテーション の巧みな人 」 への評価が高いと言われている。

そのせいか、社内には 「 プレゼンテーション の巧みな人 」 が多く、全体的な水準も、世間一般に比べて、かなり高かったように思う。

PC の普及や、ビジネスモデル の変化などによって、近頃は日本の企業でも 「 プレゼンテーション の重要性 」 が問われる時代になってきた。

その結果、昔と違って 「 猫も杓子も 」 パワーポイント で資料をつくり、いろんな人が プレゼンテーション を行うのだが、出来の良い物は少ない。

資料そのものは遜色ない仕上がりでも、発表者の熱意が伝わらなかったり、簡単な質問に答えられなかったり、私を満足させた例は皆無に等しい。


前回の日記で、『 ジャパネット たかた 』 の話を例に挙げたが、あの CM に出演している 「 高田 社長 」 の プレゼンテーション は、質が良い。

流暢ともいえない語り口と、全国放送には不具合な、「 地方独特の訛り 」 があるけれども、それを克服して余りある 「 情熱 」 が画面から伝わる。

彼らは社内に 「 テレビスタジオ 」 を持っており、撮影も、調整も、司会も、ナレーションも、すべて社員が担当する 「 手作り 」 を特徴としている。

最近の流れと逆行した話だが、「 大事なことは アウトソーシング ( 外部委託 ) しない 」 という信条に基づき、それを 「 自前主義 」 と名付けている。

社員がやるからこそ、スピーディ で、すべて統一した理念のもとに責任ある サービス を徹底するという方針は、経営の王道として理にかなったものだ。


最近の PC や、デジタル 家電というものは、日進月歩で技術革新が進み、かなり短いサイクルで、次々と新製品が生まれてくる。

同じ商品の PR を続けていたのでは、すぐに消費者から飽きられて、取り扱い商品の鮮度と価値は目減りしてしまう。

自社で スタジオ を武装していれば、午前中に入荷した新製品を、午後からの作業で収録し、その日の夜には放映することも可能である。

この 「 斬新で大胆な発想 」 が、彼らの躍進する原動力となった。

長崎の佐世保に本社を置いている不便さも、この 「 仕組み 」 が克服しており、東京の小売店にも負けない競争力を擁しているのである。


また、高田 社長 自らが出演し、実際に製品を操作しながら解説するという手法にも、かなりの工夫がみられる。

ただ使ってみせて、物を売るだけなら 「 バナナの叩き売り 」 や 「 包丁の実演販売 」 と変わりないのだが、もちろん、そうではない。

彼らは 「 大道芸人 」 とは違って、「 ワンショットビジネス 」 では成り立たない企業組織と、責任を背負っている。

継続的に需要を求めることが責務であり、「 使わないかもしれない、満足しないかもしれないが、買ってください 」 という姿勢では、成立しないのだ。

お客に、「 使ってもらって、満足してもらって 」 明日の需要につなげる必要があるので、社長自身が使い方や機能を熟知していなければならない。


高田 社長 の プレゼンテーション からは、「 買ってください 」 ではなくて、「 使ってください 」 という メッセージ が伝わってくる。

彼は、ある番組の中で 「 衝動買いでも、満足が得られるのなら許される 」 という発言をしていたが、これはなかなかの名言だと思う。

そのような 「 強い信念 」 や、「 商品に対する誇り 」、「 自社の仕組みについての自信 」 などが、「 強い プレゼンテーション 」 に反映されている。

他社の人も、「 その商品が、どのような経緯で開発されたのか 」 だとか、「 消費者にどのような利益をもたらすのか 」 という点を研究するべきだ。

それなりに知識や技術があっても、そのあたりが 「 薄っぺらい 」 ようでは、「 ずば抜けた仕事 」 はできず、壁を破ることができないのである。


( 本日のおさらい )

「 プレゼンは、相手に捧げる “ 愛の言葉 ” 」






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