2004年03月03日(水) |
人生は、ひなあられ (?! ) |
3月3日が 「 何の日 」 だったか、ふと思い出すまでに時間が掛かる。
これだけでも、ちょっとボケてきた証拠なのかもしれない。
同じ節句でも、5月5日は祝日にあたるが、3月3日はそのような扱いにならないので、縁の無い人にとっては忘れてしまいがちだ。
これを、女の子の節句は祝日に相当しないと解釈すれば、男女差別の問題にも発展しかねない話だが、実際には、そういうことではないという。
つまり、5月5日は 「 子供の ( 男女ともに ) 日 」 であって、男の子だけのものではなく、3月3日は、女の子のためだけの節句だという説だ。
なるほど、そう考えると 「 女の子は二度、お祝いをしてもらえる 」 ということにつながるが、それならば逆に、男の子が損なふうにも思える。
雛人形は、男女のペアが飾られるのに、なぜか雛祭りというと女子の行事ということになっていて、男子は 「 蚊帳の外 」 という決まりだ。
妹が生まれる前までは、我が家に雛人形は無かった。
男兄弟しかいなかったので当然の話なのだが、それまでにも、女友達や、女兄弟のいる友達の家に遊びに行ったときに、眺めたことはあった。
幼少期の記憶なので曖昧だが、友人の家で催される 「 雛祭りパーティ 」 なるものに招かれ、そのときはずいぶん退屈したような気がする。
女の子の着物やら、雛飾りなどを、汚したり、壊したりしてはいけないのだと、さんざん注意されていたので、どうも窮屈だったように思う。
甘酒は嫌いだった ( 今でも嫌い ) けど、雛祭りといえば 「 ちらし寿司 」 がつきもので、それを食べるぐらいしか楽しみはなかった。
大人になってから知ったのだが、関西と関東では 「 ちらし寿司 」 の内容が異なり、関西風は、寿司飯にいろんな具材を細かく混ぜて供される。
関東のは、寿司飯の上に刺身などが並べてあるタイプなので、たぶん子供が食べるのなら、関西風のほうが食しやすかったろうと思う。
庶民的な家庭のちらし寿司は好きなのだが、お寿司屋さんなどで頼むと、彩りを良くするためか、ピンク色の 「 桜でんぶ 」 が上に散らしてある。
この、なんとも甘ったるい 「 桜でんぶ 」 というものが嫌い ( たぶん今でも嫌い ) だったので、どうもちらし寿司だけは、高級品のほうが苦手だった。
だから、友達の家でちらし寿司をご馳走になるとき、桜でんぶが無ければ 「 おばちゃん家は、庶民的なので良かったよ 」 と安心したのである。
幼児の頃というのは、男女の体格差もそれほどなく、腕力に訴えて争っても男子が勝つとはかぎらないので、頻繁に 「 男子対女子 」 で喧嘩をした。
今思えば、本当は女の子と仲良く遊びたかったのだが、照れ臭かったり、他の男子の視線を気にして、上手く交われなかったのだと思う。
雛祭りなんぞは、まさに 「 男子対女子 」 の決戦場であり、女子だけが賑々しく祝い事をするなんてイベントは、抵抗勢力にとって実に面白くない。
かといって、暴れて雛人形を壊すと取り返しがつかないので、お供えの餅を奪ったり、ひなあられを失敬したりと、ささやかな嫌がらせに走るのだ。
女子の方も、着慣れない晴れ着で楚々としているため、自由に反撃することもできず、睨みつけるだけで我慢していたようだ。
とてもぎこちない形で、とても曖昧ではあるが、「 男女の性 」 について最初に意識する場面が、あるいは雛祭りだったのかもしれない。
一家総出で雛人形を飾り、ご馳走を用意して女の子の節句を祝う。
普段は同じように泥だらけで遊んでいる女子が、晴れ着を着て大人しく座っているのを、幼い私は、遠くから普段どおりに鼻をたらして眺めている。
話は変わるが、ひなあられの中に 「 チョコレートコーティングしたあられ 」 が少し混ざっていて、塩辛いあられの中で味のアクセントになっている。
たぶん人生と同じで、甘いあられだけだと美味しく感じないが、辛さの中でひときわ印象深い 「 甘い記憶 」 が、味わいを深めているような気がする。
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