羽積風narration
…どうかなぁ?

2000年09月15日(金) 最後の帰り道


派遣終了。昨日が最後の出勤日でした。
みなさん、本当にお世話になりました。

正直言って私は今まで、卒業とか派遣終了とかの別れに抵抗は無く
どちらかと言うと好きなほうでした。

自分の筆マメ・連絡マメさには結構自信があるので、
仲良くなった人たちとはいつまでも連絡をとったり
会ったりすることができるから別に寂しくないし。
鬱陶しかった人とはスパッと縁を切ることができる絶好のチャンス。
友達がドンドン増えていくばかりで、
出会いと別れを繰り返すことは、なんて合理的!

机を片付けて引き出しがスッカラカンになるころ
「あぁ、ここで仕事をすることはもう、ないんだなぁ」
と、なんとなく思いました。

日頃そんなに親しくしていなかったはずの人たちが、
すごくすごく残念がってくれました。
どう考えてもこれから先、気軽に連絡をとれるような関係を
築いてこなかった人たちがすごくすごく残念がってくれました。

派遣社員である以上、そこに派遣された瞬間から
近い将来に別れが待っていることは、もう決まったことなので
付き合いも愛想も悪く、ちょっと稀薄な人間関係を作ってきたつもりが
2年9ヵ月も居ると、それなりの感情が生まれてしまっていました。

私が「もう辞めたい」と言ったときも、異動の話があったときも
一生懸命引き留めてくれた人がいました。
今回の契約終了が決まった時も、私のこれからの生活を誰よりも心配してくれました。

「いつも怒ってばかりいると、そんな顔つきになっちゃうから
 できるだけ笑っているようにしたい」
という言葉にすごく説得力のある、笑顔の素敵な人がいました。

普段はぶっきらぼうで冷たい喋り方なのに、
実は人が困っているのを見付けることに敏感で、
助ける行動力はピカイチの人がいました。

恐い人だというウワサにビクビクしていたけれど、
軽い気持ちで何か質問したら、すぐに資料を抱えてきて
一生懸命説明してくれる優しい人がいました。

見る間にグングン仕事の能力を伸ばした、
どこか不思議なセンスでつかみ所がなく、
ノリがいいのに気遣いもできる、妹思いの人がいました。

何かにつけて大らかで、
そこにいるだけでピリピリした雰囲気が変わる人がいました。

何故か思考回路がそっくりで、
とても他人とは思えないような人がいました。
本当に本当にいろんなことを話しました。お菓子作りの天才でした。

話術に長けていて、いつもみんなを笑わせている人がいました。

冷たい人のようなフリをしながら、
本当はいつもスマートな気配りをしている人がいました。
女性らしいところが多くて、あこがれでした。

みんなのお世話係で、
いつもみんなが気分良く仕事を進められるように動いている人がいました。
みんな甘えてワガママばっかり言っていたのに、頑張っていました。

笑顔のとても可愛い人がいました。
大変な仕事なのに、いつも笑顔でこなしていました。

人の気持ちを裏の裏まで読んで、気を遣っちゃうような人がいました。
天然ボケが絶好調の、かわいいかわいい人でした。

いつも寡黙で、たまの発言がとても適確な人がいました。
ヒートアップし過ぎるみんなの押さえ役でした。

誰からも嫌われない雰囲気を持った、人当たりの柔らかな人がいました。
毒のある発言は聞いたことがありませんでした。

全然違う部署なのに、すれ違うたびに声をかけてくれる人たちがいました。

もう きっと会えない人もたくさんいます。
みんな みんな、本当にありがとうございました。

送別会、開いてくれて、ありがとう。
帰り道、少し、泣きました。


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汐 楓菜 [MAIL] [活動記録]

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