白痴日記
白痴



 ペットボトル

初めて彼になった人は邪気のない人で.
まあ,何となくお互い時間を過ごしていた.

ある日台所で何らかの目的でペットボトルを洗っていた彼が
私を呼び,ペットボトルをくるくる回しながら水を出していた.
こうすると中の水が早く出るんだ,と彼の郷里の訛りが抜けない言葉が
得意げに響いて.

その人は邪気もないかわりに,残酷で私への興味も一時的なものだった.

けれど私はペットボトルを時々洗う必要に迫られた時
いつもあの日のキッチンの二人を思い出すのだ.
苦笑しながら.

2003年05月03日(土)
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