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2003年09月26日(金)☆ねえ あしたしんでしまおうかしら

シカオちゃんのThank youは最近半年くらいの私の心情にジャストフィットです。
もどかしいことすべてのあてつけに。

さて、今日は先日予告をしておいた例のお話を書いてみましたよ。
なぜか短期連載になりそうな予感、おそろしやおそろしや・・・
ま、でもこれ自体はこれで完結しているので続きとかが気になる感じではないので安心してお召し上がりください。
感想もこっそりお待ちしてますー










西村ひとみというのは俺の想い人の名前であり。
わが校の国語科教員、さらに言えば担任の名前でもある。
先日の授業で「恋」というテーマで小説を書け、という素っ頓狂な課題を出してきたので(思春期の高校生にそういう課題を出すのはどうだろ)、思い切って原稿用紙3枚余すことなく、ラブレターにして提出したら。
誤字と表現違いを赤ペンできっちり添削して、「お返事は赤ペン添削がなくなったら。それまではおととい来やがれだな」と粋なことを言ってくださる。

はっきり言って惚れ直したね、俺は(ちなみに国語は大の苦手科目だ)。

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[ 恋愛授業(仮) ]
1.正しい教師の口説き方

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「ちょっと大下、なんで辞書使ってんの早くしてよ、あたし今日は食事当番なのはやく帰りたい」
放課後、教室。
辞書と首っ引きで学級日誌を書いていた俺に今更気付いた橘ゆりは驚きの声を上げた。
「うるさいなぁ、だったら帰れよ」
「なんだよ、あんたがのーのーと昼休みにやってくるまでの間あたしが全部やったんだぞ日直の仕事」
「う」
「うじゃないよ、それを日誌だけで手を打ってくれてる心優しいあたしに向かってうるさい帰れ?」
さっきまで教卓の上に座って足をぷらぷらさせながら本を読んでいたと思ったら、いきなり怒涛の突っ込み。
橘のアタマと口は回転が速い。
「すいませんでした」
「わかればよろしい」
そこで素直にというより半ば投げやりに謝罪すると橘は当然だ、という感じで笑い、教卓からぴょんと飛び降りた。
そして俺のいる机の傍まで寄ってきて日誌を覗き込み、
「何これ、まだ5時間目の感想を書いてるわけ?」
とか言いながら溜息をつく。
「いいだろ別に。もうほんといいから帰れよ、当番なんだろ」
「ねえ、もしかしてひとみちゃんが言ってた話は本当なわけ」
「は?」
いきなりその名前を出されて驚いていると、突然ぶわ、と教室の中を風が吹き抜けた。
「大下楓、遅い!」
声とともに開いたドアから登場したのは、あろうことかたった今名前を出された張本人。私服ではなくジャージ姿で立っていた。
どうやら風が吹いたのは教室のドアが開いたかららしい。
「あんたさ、一体いつまで待たせるつもりなわけ」
「ごめん、先生」
「なんかね大下、辞書引いてんの。先生の話、本当だったんだね」
「あたしは生徒に嘘つかないよタチバナさん」
「そうでした。じゃあ私は今日当番があるので、日直のあとの仕事は大下に引き継いで帰ります」
「ああほんとに? ごめんねお疲れ様。気をつけてね」
目の前で展開される二人の会話に参加することができないままなんとなく橘を見送って再び日誌に向き直ると、頭上から声がした。
「大下、あたしまちくたびれそうなんだけど」
「すいません、もうできるし」
「日誌?」
「そ、全力で取組中」
「ごめんでももうすでに誤字がある」
「え! 嘘!」
「本当。ねえ大下楓、本当にいつまで待たせるつもり」
必死に誤字を探していると西村ひとみ先生は控えめな声で呟く。
「ごめん、あと10分!」
「鈍感だな、あんなセンセーショナルな告白をしておきながら」
「は?」
なんだそれ、と思って顔を上げたときには先生はもう教室から出て行こうとしているところだった。
「あたしもう部活行かないと。日誌は机の上、置いといて」
ガラガラガラ。びゅう。
再び教室の中を風が通り抜ける。
教室ってなんでこんなに風通しがいいんだろうか。
彼女の背中を見ながらなんとなく思ったら、ふと振り返った瞳と目が合った。
「大下、あたしまちくたびれそうなんだけど」
もう一度、さっきの台詞を、彼女は繰り返す。
俺はぽかあん、としてしまって、気付いたらガラガラガラ、と扉の閉まる音。

まちくたびれちゃう?

「ちょ、待って」
ガラガラガラ。
あわてて扉を開いて廊下を見渡すと、階段の手前に彼女の姿。
全速力で追いかけて腕を掴んだら驚いた顔で振り返った。
「なに大下。どうした?」
「待ってて、もうちょっと。俺頑張るし」
「ん?」
「待ちくたびれるとか言わないで、先生」
「大下、きのうの小テスト58点だったよ」
「うそ、マジで」
だって抜き打ちだったんだもん、とか、この際そんな言い訳は置いておいて。
「ちょっとあたしが落ち込んじゃったじゃん」
苦笑いを浮かべる彼女。
待ちくたびれちゃう、とかさ。
「それ、俺のいいように解釈するのは問題あり?」
「前後関係から自分で解釈しなさい」
「なに、問題?」
「まぁね」
ふふ、と笑って。
その顔が妙にかわいらしく。
またしても惚れ直してしまったようだ、困った、このひとについて、俺のブレーキシステムはまったく作動してくれない。
「次」
「え?」
「次の小テスト、俺90点取る」
「えええ!」
そんなに驚かなくても。
確かに俺は国語でそんな点数、一度も取ったことないけどさ。
「そしたら返事、聞かせてくれる?」
「また落胆させるのとかなしにしてくれるなら約束してもいいけど」
「絶対がんばる」
「よし」
とん、とん。
俺の肩を二回叩いて、彼女は階段を駆け下りていった。

ああ。
すごい宣言、しちゃった。
参考書、買って帰ろう。

なんて落ち込みつつ、反面俺はかなり浮かれていた。
前後関係から都合のいい解釈をして。






大下楓君と西村先生は私の書く人たちにしては珍しく裏表なく明るいのが特徴です。
ちなみに橘ゆりっていうのがゆりりんです。
ハノンさんもそのうち登場するかもね。
なんかこうやって世界をどんどんリンクさせていけるのがネット小説の面白いとこだよなー、と漠然と思う今日この頃。
とりあえず明日は図書館に行きたいのでもう寝ますオヤスミナサイ。


追伸。
黒豆ココア、こうかてきめん。
オナゴにオススメ!


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