覆面作家企画6 Cブロックの感想です。
C01 天翔る竜と天下無双のドラゴン娘!(仮)
それぞれの場面を切り取って、モザイクのように張り付けたような文章構成。他の方もおっしゃってたように、時系列は5→6→8→2→3→7→1の順なのかな?
ケイトがどういった経緯でドラゴンになったのかが気になる所。血筋かな、それとも突然変異?
チカにとってケイトは相棒で心の友で、同じ苦境を乗り越えた戦友。だからこそ、この別れは残酷であり理不尽としか言いようがないですね。
ケイトは自分の死を最初から悟っていたのかもしれませんが……これはやりきれなかったなぁ。
処分されるシーンでこちらの胸もしくしく痛みました。
C02 桜都狂騒劇場
北の過去といい東の性格といい、なんとも濃い人たちなんだ。東はナルシストでお馬鹿で、自信過剰だけど、とても面倒見がいいんですね。そして時々子犬になる(笑)何だかんだでいい奴ではないですか!
この詰め合わせは王道で、憎めない。むしろ好きです。
そして彼らの立つ大正浪漫を思わせる舞台が素敵。添えられた桜の描写もとても綺麗で、完全に萌え殺されました。このお話、シリーズ化して欲しいです。
C03 時よ止まれ、汝は美しい
夜の川に佇む白い服を着たずぶぬれの女……
恐怖をあおるには十分すぎます。霊ものかと思ったら殺人犯かよ、というオチにしてやられました。犯人「あかり」の博打にこっちが舌を巻いてしまいました。
宮内くん生存できてよかったー、と思いきや、最後に背中がうすら寒くなるようなフラグ立っちゃってるし。これはオチとして流した方がいいのか、それとも……?
最後まで謎が絡みつく、面白いお話でした。
C04 ほんとうの救世主
帝国の掌で踊らされていたイリアナ可哀想すぎる――つまり帝国はイリアナが魔族の娘だとしって勇者に仕立てたということでしょうか?
これじゃなんの救いもないじゃないか――と思ったらまさかのSFオチ……ですと??? 金色の肌を持つ彼らによってイリアナは救われた、この結末にびっくり。
重厚な文章の中の大逆転に思わず目が点になんてしまいました。
C05 ともしびの揺れる
お年寄りを持つ家族と携帯にまつわるあれやこれや。それぞれの話は最初ぼんやりとしていましたが、終盤の「私」の語りによって糸がぴんと張り巡らされたというか、物語の背景が鮮やかに浮かび上がりました。
私の近くにはこの作品に出てくるような痴呆症患者はいないのですが、実際にあったら怖いというか、実際にありそうですよね。
C06 あの温もりを思い出せない
早瀬の先生への淡い想いは純粋なんだろうな。でもペットボトルにガソリンは危ない。そして先生、その熱い視線にいい加減気づきなさいよ〜幸せボケでセンサー壊れましたか? なーんて色々ツッコミたくなってしまいました。
次の日、早瀬がどんなシュチュエーションで告るのかなぁ、と色々想像するのですが、失恋と分かっている恋だからこそ、切ないです。
でも死にたいと思った彼女が誰かを愛しいと思えることで生かされているのは事実。どうか、その恋を苦しいと思わず、成長の糧にしてほしいな。
未来への第一歩なんだよ、と応援せずにはいられないお話でした。
C07 深夜ドラマは30分ものに限る
本筋のミステリもさながら、よくぞここまで、というくらい小ネタが盛りだくさんで、楽しかった〜
ハゲに対して容赦ないツッコミに何度笑いを堪えたことか。そして飛行石ネタに目を輝かせるラピュタ好きがここに一人(笑)
次回、主人公は海の家に飛ばされるのかが気になる……来週も見たくなってしまったよ〜
C08 火刑に処す
行き場のない想いを燐寸の火で消す→火刑という発想が面白かったです。
南雲どのが穏やかな口調で悲恋を語る所が切ないですね。そしてさらっと刻子を振るあたり、この手の告白を何度も受けていると見受けました。
相手の哀しみより自分の感情を優先した刻子は恋に恋してたともいえます。でも失恋したことで、本当の恋というものを体感したのかもしれませんね。
この様子だと、南雲さんへの恋の炎はまだ消えなさそうな気がします。
C09 真夏のブーメラン
このブロックがパンツと呼ばれるようになった根拠ですね。はい。
一人の女をめぐって、男と男の真剣勝負。青春だ。眩しいぞ。あまりの爽やかさにこっちが赤面しました。ぷちタイムスリップのあと「男」になって帰ってきた、コータが逞しい。
実はこんないい話だったなんて。企画開催して間もなくのこと、パンツTLに浮かれ調子に乗って誤爆ツイートをした自分が悔やまれます。
全然関係ないけど、この話を書いた作者さんは(バーロー!)コナンと(超高校級のスイマー)朝日奈さんと(小麦色のマーメイド)松田聖子が好きなのかな?
C10 あなたの健康を損なうおそれがあります
煙草の煙が武器になるという設定が面白い。相棒の鈴木の特技が酔拳なのもいい。女性の酔拳カッコ良さそうだ。
人魚との対戦も面白かった〜
全然関係ないですが、序盤のトイレ爆発読んだ時、アレは宮田の下から出たガスに煙草の火が引火して……なーんて思いこみ、そのあとすぐに読み違えたことに気づいた私でした。恥ずかしい……
C11 この気持ちにつける名前をまだ知らない
ああ、何て可愛らしいお話なんでしょう。ティカの健気さが可愛らしい。彼女の健気さが脳裏に浮かんでこっちの口元が緩んでしまいそう。
エミールの乾いた言葉をティカが受け止め、根気よく問い詰めることで、二人の間がぱっとあかるくなります。とてもいいバランスを保っているんじゃないのかな、と思います。
今は主従関係ですが、この二人、心が通じ合ったらバカップルになりそうな予感。
C12 緋蓮
コウカラという国の特性や、服をばっと脱ぐ瞬間や、それぞれの場面に艶があって、口づけの場面でいちいちどきどきしていたのに、読み進めるうちにせつなくて泣きそうになってきた。
紫樹の病気もそうだけど、彼女の想像以上に魁がイイ男すぎて余計に胸が痛んだ。強引だけど、ちゃんと相手のことを見ていて、すごく優しいだなんて……
病気を知らされた時の魁の気持ち想像するだけで、もぉうるうる……素敵な旦那だ。ごちそうさまです。