いよいよ感想も大詰めを迎えました。
あとは自ブロック(H)とあとがきを残すのみ。
ああ、早くあとがき書きたーい(色々と土下座しなきゃあかんので)
というわけで、Aブロック感想です。
(意見には個人差があります。読み違えはスルー推奨で)
A01 弟
ラブストーリーはこれから、って感じのいいお話。佐藤君のもどかしい気持ちがずきずきと伝わってきます。
何とも甘酸っぱい少年の心にこっちが見悶えそうだ。美緒の渡した封筒の中身がすごい気になる〜
そういえば佐藤君の下の名前がないのですが、これは作者様に何か意図でもあるのかな?
A02 碧の空
召喚されたのに元の世界に帰れない主人公。たぶんシーナは今いる世界も好きなのだと思います。
【今住んでいる所>故郷にいた時間】になると、いざ故郷に戻ってもよそよそしくなってしまうというか。
毎日に不満を漏らしていたのに、いざ国へ帰れないとなると故郷への思いが棄てられないという本能はなんとなくわかる気がしますねー。
A03 光り輝く風景
自分の夢にツッコミを入れている篠田さんが面白い。ババアで私も吹いてしまいましたわ。
現実は可愛い女の子でよかったですねー。彼女になって結果オーライって所でしょうか。
読みながら「あれ自分の夢って白黒だっけ?」と考え込んでしまった自分。考えこんじゃうって事はたぶん、カラーの夢を見ているのかもしれませんが。
A04 愛に逢いに
道端でのひとコマが……乙女になったおばあちゃんが可愛らしかったです。でも私が当事者や第三者側だったらきっと避けてるんだろうなぁ。
家族のはずなのに、一緒にいると煩わしくなったりイライラする様子がとてもリアルに描かれていて、うんうんと頷いてしまいましたよ。
おばあちゃんの淡い恋はこちらもほのぼの。タイトルのつけ方に作者さまのセンスの良さを感じました。
A05 洗濯参景 −十和と千早−
他のブロックの感想でも書きましたが、異性との付き合いと結婚には妥協も必要ですよー。
今回は洗濯でしたがこれからも千早が愚痴るたびに十和にネタにされるんだろうなぁwww千早ちゃんいじられキャラですか?
まるで落語を読んでいるかの語りと結びににやりとしてしまいました。
A06 俺と彼女の模範解答
小夜子さんがとても個性的。
人の心の色は? の問いに対する「無色」の答えにも脱帽しました。きっと私が彼女と話したら絶対に言い負かされそうな気がします。
そして健太さんの「白」という答えも興味深い。同じ白でもコントラストの違いで表現が変わってきますよね。
「相手を自分の色に染めたい」と思うのは人にとって永遠の夢なのでしょうか。とにもかくも、らぶらぶな二人に当てられちゃいましたわ。
A07 色覚研究所奇譚
猫にゴッホ。(おそらく大正〜昭和初期の)この時代にはとてもハイカラな名前ですよね。
あんなにもお嬢様との結婚を夢見ていたのに、結局主人公はお嬢様よりも自分を取ったということでしょうか。
いやいや。自分以外の男の前で今までに見せたことのない顔を見たから、まさに「夢から醒めた」のか。
青年は夢を奪われたあと、どう生きていくのでしょうか? なんとも不思議なお話でした。
A08 歌う青と芽吹く緑
樹公さまはいったいいくつなのだろうか?
最後に人間になったとき何歳の人物像で現れたのだろうと、色々想像してしまいました。
樹公さまは神に等しいけど、護るだけで人の争いを止めることができない。ある意味でとても無力な存在なのかもしれません。
邑は失われたけど森は生き、森林官の血は絶えることはなかった。二人の新たな旅立ちをそっと見守りたいと思います。
A09 蜜色のアトリエ
ただひたすら絵を描く彼と彼女の物語。描写がとても丁寧だな、と思いました。
>けれどその大きなたれ目がちの瞳の中には黒に近い褐色の髪をした目つきの悪い男がきちんと映っていた。
この一文が好きです。シロワだけでなく、クロークの外見が間接的に表現されているのが上手いなぁ。
絵が完成したあかつきには是非見てみたいですね。
それにしてもガラスの溝に指をなぞらせる……これを聞いただけで痛そうというかむずかゆい気分になってしまいます。
A10 言祝ぎ
「桃の花のようなお方」ってどんな人だろう? と興味をそそられ最後のくだりにああ、と納得。
桃の例え方がとても上手いなぁと思いました。
確かに桃の実の表面はざらざら、ひと皮むけたら淡い色と艶がある。ほのかな甘みもあって顔がほころんでしまう。
本当犀怜は奥さまにめろめろなのですね。ごちそうさまです。
A11 月影に色ふ
淡々と進む三人称の物語、かと思ったら終盤は情緒たっぷりでかなり私好みのお話でした。
背景となる月の描写が憂いを帯びていて二人の別れを更に盛りたてている気がします。
>「ありがとう。わたしも、大好きだった」
この過去形が憎い、切ない。うわぁぁぁ。
この二人に再会はないのか? できることなら二人に幸せをプリーズ。
A12 花びら一つ、あなたに
一度読んでおおおっ、そのあと読み返してすごく気になったことが。
「私」は一体誰と話をしているんだーーーっ(笑)
最初は王子の方がホームシックにでもなってるのかと思いきや、読み進めてみたらううん? 何だか雲行きが怪しいな……って! 体質ですか! 何かのドラッグですか!
「私」の穏やかな語り口に見事に騙されました。
王子と私。これはどっちが悪いとかで表現できませんな。強いて言うなら持って生まれてしまったのが運のつき、なのでしょうね。
こちらも企画やA&Cでのお知り合いが多かったのですが感想書く前にうっかり正解発表見てしまった……(T_T)
藍間さんがA12だったのには正直驚いております。イメージからA01かA02を予想していたもので。やはり深海さんと似たような雰囲気なのか……やられましたわ。
好みの作品はA11。淡々とした文章の中にドラマを感じました。
素敵な作品をありがとうございました。