今日のタイトルはとても印象深い音(森口バージョン)から。
映画「告白」観てきました。
すごい満足。
良かった、最後まで顔がにまにましてしまった。
もう一度観てみたいです!
って、こんな風に話してると、
「そんなに褒めるんだからすごく面白い作品なの?」
なーんて聞かれるんでしょうね。
その質問に対して「私的には面白かった」と答えておこうかと思います。
以下、ネタばれにならない程度な感想です。
「告白」は湊かなえさんの小説が原作の作品。
端折って言うと、娘を教え子に殺された女教師の復讐劇です。
私は原作を読んでから映画に入ったのですが――
この作品をまっさらな気持ちで見た人たちの意見は真っ二つに分かれるんだろうなぁ。
何せ取り扱っているモノが……
重い、グロい、(人道的に)危険の三拍子なもんですから。
子どもを持つ親御さんたちには、自分の息子(娘)に見せたくないと思うんだろうな(とはいえ、映画館には40〜60代の夫婦も結構きてた)
むしろ、人間が崩壊しかけてるR-15作品を終始にまにまと見てた自分の人間性疑われそうな気がしてなりません(笑)
R-15なだけに血なまぐささや不快を感じる人もいるでしょう。
命を「軽っ」とぼやく少年をぶん殴りたいと思う人もいるでしょう。
人間が持つ狂気を描いてるので、善悪とか正義とか、輝かしい未来を常に求めてる人には納得できない内容・結末なのかもしれません。
でも、エンターテイメントとしての復讐劇、人間の本性と業を描いたものとして「よくぞここまでやってくれた」と私は言いたいです。
いじめの根底にある正義。
集団が作り出す異常な空気。
汚さを嫌い、馬鹿になることで恐怖から逃げようとする少年少女。
この作品に出てくる生徒たちは極端で、だけど誰の人生の中にも一度はよぎったであろう想いが存在していて、ある意味それらの集合体が一つの教室に集まった、とでも言うべきでしょうか。
純粋であるが故に歪んだ悲劇は時にコミカルに映し出されるものの、躊躇いもなく奈落の底へ突き落とされるのです。
それは時に緩やかに、じわじわと押し寄せるように。
美しい音楽と風景を添えて、気持ち悪くしてくんですよ(褒め言葉です)
ううん。このへんは中島監督の作戦勝ちと言ってもいいかもしれないですねえ。逆回し時計の使い方もとても上手い、と思いました。
そして、話を彩るのは役者陣。
なんといっても冷徹に復讐を進める先生=演じた松たかこさんがすごいよかったのです。
冒頭、外野のひどさに「コノヤロウ」と私が心の中でツッコミ入れても彼女は淡々と独り言のように話していく。
その不気味さはやがて、私の背中をぞぞぞぞっとさせてくるんです。
「うわ、来る。何か来る」と(この辺でかなりにまにましてる自分)
歌舞伎の見栄を切るような音、静けさ。
そのあとに発せられる感情は喜怒哀楽とも読めない口調。
でも奥ではめらめらときてますよ〜な気迫が何とも素敵だった。
後半、要所で爆発する叫びはもう、何といっていいか。「そこだやっちまえ」的な(この時点で相当壊れてます自分)所で期待に答えてくれたというか。
あれはハマリ役というより、森口悠子という人格が乗り移ってたとしか言いようがないです。鼻血出すのも無理はない! 私も出しそうになった。
いやぁ。松さんに惚れ惚れしてしまいましたよ。
また、少年Bの母を演じた木村桂乃さんも怪演という点では負けてなかった。
「あ」とつぶやいた後の動きがもう……「ひょええええっ!」って感じですよ。
私の中でこれはアリだと思った、ある程度イっちゃった人間はこんな風になるんだろうって妙に納得してしまいました。あれは木村さんパートの中では一番いいシーンだと思います(私的にオススメ)
本当、役者陣は結構良い人たちが集まった気がするなぁ〜
ウェルテルは道化師にされつづけ、少年少女たちは嘘と残酷さと見栄を繰り返し、結果として彼らは純粋と言う名のモンスターと化していく――その過程、絶妙なリズムに引き込まれっぱなしでした。
昨今はショッキングな話=人の気を引く作品ととらえがちですが、この作品は私たちに根本的な問題を突きつけているような気がします。
私たちが無意識に避けようとしているもの、近づきたくない一つの現実を捕らえた、考えさせられる作品の一つではないのでしょうか?
ああ、も一回見てみたい。
あのぞぞぞ感と森口センセの叫びをもう一度……
そんなことを思う自分は相当醸されているのだろうか?