ええと「夏祭り」書きあげて一区切りしたので。覆面の感想ひとつアップしました〜
AでなくDなのはご愛敬ということで。
短いですが感想です。(※注は読後感に注意の略)
D01 帰らずの坂
陰陽師は全てお見通しだった、ってな話。最後自分の悪友のごとく翁を語るくだりが面白い。安倍晴明って実はお茶目さんだったんですね。みたいな。でもって絶対Sっ気あると思うんですよ。惟尹《これただ》の少将は本当いいように振り回されてしまってお気の毒だ。
時代ものではあったけど、すらすらっと読めました。
D02 サヌザと共に 〜草原の道〜 ※注
別ブロックにもあった語り部ものの話。こちらは「荒城の月」を思わせるような寂しさを持たせつつも、「ああいい話だな」と思ってしまうのはきっと終盤の井戸端会議のせい(笑)心があったまりました。
髪挿しに限らず、一つのモノに対する思い入れというか、それを使い愛した人たちの姿が語り継がれていくというのは素敵だなと。
だから井戸守りの女性はあまり怖くなかったです。
D03 ナキオニ
自分にとって大変なことが起きても、世界規模で考えれば些細なことでしかない。でも、そこから「日常」に浮上するまでが結構大変だったりするんだよな、としみじみ思った作品。
葬式から四十九日間って、死者が仏様になるまでの時間と言われてるけど、生きている者にとっては「心の整理」をつける時間なんでしょうね。
全然関係ないですが、ごはんを食べるくだりで、私の好きな某漫画を思い出してしまった。お面をずらして食べるのが何だか可愛いぞ。
D04 黄昏ストーキング!
誰をストーキングしてるのかはなんとなーく分かっていたけど、でかい口のわりにビクビクな主人公に超笑えますわ。なんだかんだで主人公可愛いです。
カフェでよかったね、と思ったのにどんでん返しくるし。お母さん、思春期の息子に対する答えが刺激的です。そして何故にプッチンなのかが謎(笑)
D05 払暁 ※注
優しさと甘え、そして強さについて考えさせられた作品。江朴青は漢だなぁ。その潔さはさすがと思いつつ、とても切なかったです。きっとめちゃくちゃ悩んだんでしょうね。王の気持ちも分からなくはないのだけど、人の上に立つということは自分にも相手にも厳しさを持たなくてはならないんだなと思います。
ついつい王と比べてしまう江朴青の姿は、私の中の想像ではなかなか渋いおっちゃんでした。
D06 だから私は解放を願う。
主人公切ないなぁ、って思ったら先輩に騙されたっ。一緒に寝首取られましたよっ。でも先輩にとってはそれが幸せなんだろうな。
二人の異様な関係が終盤でひっくり返された感じが怖かった。この世のどこかにあってもおかしくないようなリアルさを感じました。
うん。笑顔って凶器だね。
D07 坂道の効果に関する最新知見 〜女性研究者を対象として〜
研究者たちの会話から最初は現代? って思ったけどSFだったんだね。
傾斜ののない世界ってのが新鮮。そしてどさくさまぎれの告白も何だか可愛らしかったです。ベルルックが悲鳴をあげて坂を下ってくくだりは小さい頃の自分と重ねてしまいました。
あの頃は坂道降りるだけで何だか楽しかったんだよねぇ……今度は自転車で下ってみてはと提案したくなりました(笑)
D08 御堂関白の御犬を可愛がる事
蛙に鼠に犬に……一体何の話だろうと思ったら陰陽師シリーズその2でした。同じブロックで安倍晴明や賀茂保憲の名を再び聞けるとは思いもしなかったです。まるでD01と話が繋がっているような錯覚が……
こちらの晴明さんはひと癖ありそうな感じでしたね。雪丸の姿は私の中で紀州犬。一度モフりたい〜
D09 道案内
読み終って「生き残りおめでとう」と拍手。
主人公以上に思春期の男の子のまっすぐな気持ちとかがひしひしと伝わってきた作品でした。場面の合間にある風景の描写がとても上手い。駅前の重苦しさといい、クライマックスの桜の風景といい、読み手側としては脳内妄想全開で楽しかった〜
とても素敵な話でした。
D10 その道の先にある
叔父様と姪のコンビネーションはさすが。ミステリー色を出しつつも、実はSFということで。シリーズ化しても読めそうなお話でした。
全ては予定調和だったのかかどうかは、お母さんのみぞ知る、ということでしょうか?
実は轢き逃げだけで終わってなかったという展開も面白かったです。
D11 夏の夕凪、丘の上に寝転びて星を待つこと
銀河鉄道の夜、私もいちばん最初は挫折したクチです。その後青猫さんとか舞台とか見て、最後に本を読破したという私。でもこの話の中にあるように、宮沢憲治は年を追うことで理解することができるのかな、と思います。
そして恋は盲目と言いますが……純粋故に気付けなかったことや、突き放すことができなかったという、繊細な心が浮き彫りになった話だと思います。
切ない話ですが主人公たちには明るい未来があってほしいな。
D12 ハイカラ娘と銀座百鬼夜行
うわああっ。お嬢さんと書生だなんて。私のストライクゾーンまっしぐらではないか。この時代大好きです。そしてこの季節らしいホラー色もありつつ。なんだかほのぼのと読めてしまう作品でした。
結局事件は解決したのか? と思いつつ。お嬢様の無鉄砲ぶりにぐいぐい引き込まれてしまいます。書生くん上野までがんばれ〜