「その日」の朝、私はビデオ「録歌選 金・銀」を見ていた。特に見たかった訳ではない。その日見たいと思う番組がなかったからだ。しかも、私は歌の部分を思いっきり飛ばしてトーク部分だけを見ていた。彼らの喋りはつたない部分はあるが、とても面白い。
音楽に重心を置いているからこそ彼らのトークはとても貴重なのだと思う。もともと彼らはテレビに出ることも少ないし、表だって出たいと言うわけでもない。そんな彼らが「出たい」と言った(テロップだけでの表現だったので本当の所は分からないが)おちまさと氏の番組が深夜放送されるという。
タイトルは「ゆず電視台」
私が「それ」を知った時は当日。午後11時近かったと思う。新聞のテレビ爛を見た私は「しまった」と思った。というのも、この時間はいつも他局のアニメ(○ンジェ○○ート)を録画しているから。あの番組は続きものだから落とすわけにはいかない。
仕方ない。私は目覚まし時計を1時半にセットした。
「時間になったら起きるけど、気にしないで。寝てていいから」と3年連れ添っている相方に声をかける。相方にとってゆずは天敵のようなものだ。だが、私がゆずの事でこうだと決めたことに関しては何も言わない。きっと私が1つの事に執着すると他のことが見えなくなることを知っているからだ。言ったところで効き目がないことを今までの付き合いの中で身に染みるほど分かっているのだと思う。
2時間ほど仮眠を取り、目覚ましより少し早い時間に起きた。掛け布団をずるずると引きずりながらテレビのある居間に移る。テレビの音量は極力抑えた。
野球が延長したせいでまだ番組は始まらない。深夜のバラエティをぼうっとした頭で見る。横になる。眠気は飛んでいるが延長分の10分間がとても長い。
布団の暖かさにまどろみを覚え始めた頃、体がびく、と反応した。テレビに映し出されたゆずの2人に本能的に反射したのだ。自分でもすごい、と思ってしまう。私は体を起こし、テレビ画面にくいついた。新聞のテレビ欄にはゆず自身がつくりあげる歌番組と書いてあった。いったいどんな番組なのだろう。
「ゆずに5時間時間を与えます。思い出の地を回りながらこのビデオカメラに3曲唄って撮って来て下さい」
お付きのカメラマンもスタッフもいない、つまりは自分達だけで自分をプロデュースしてこい、2人だけで番組を作れと言わんばかりのこの話。最初からニセの打合せで来ていたゆずの2人は、真相を聞いて唖然とした。ある意味、気持ちのいい騙され方なのかもしれない。
「売られたケンカは買いますよ」
と、強気に言ったのはリーダ北川悠仁。サブリーダー岩沢厚治は苦笑していた。2人とも戸惑いながら、でもこれから自分たちが初めて体験することに興味を惹かれていたのは間違いないと思う。
ここで私はふと思った。この番組は(ビデオ録画してないから)もう2度と見る事ができないかもしれない。その時私は本能の思うままに紙とペンを取った。この番組を私なりにレポートとして残しておこうと。
……こんな感じでゆずのテレビ出演レポートを一気に書いてしまいました。
続きはこちらです。
けっこう本気モードで書いてしまった自分にかなり驚きです。
ゆずが好きでも嫌いでも。この文面に惹かれた方がいたら、いちど本編も読んで見て下さい。