平素に在り

2007年03月16日(金) 勝海舟

子母沢寛の「勝海舟」を読んだ。
文庫で少々分厚い全6巻。

明治維新といえば、司馬遼太郎が描く
「志士」がポピュラーだが、こちらは
幕府側の人間の話である。

戦時中に新聞に連載されたものであるため
文体も古文的な部分やなにやら口語調な感じで
あるが、これもなれてくると、小気味良い。

書かれた時代が今から比べれば、「江戸時代」もそんなに
遠い過去でなかったせいか、江戸っ子の市井が
生き生きと描かれている。

江戸城引渡しが無血で行われたのは、
官軍に西郷、幕府に勝がいたからこそできた
歴史的快挙であろう。
(官軍との交渉決裂の際は、江戸中に火を放つ
 手筈まで整えていたのであるから紙一重であった)
(当時の幕府の軍艦などからすれば、慶喜が恭順せずに
 決起していたら、勝敗は5分5分。だが内戦に乗じて
 西欧諸国の介入を招き植民地化されることは必然であった)


話は、海舟(麟太郎)の父の貧乏だが、
人情堅気な生活から始まり、その死後
べらんめぇ調の麟太郎が頭角しついには咸臨丸でアメリカへ行き、
最後は、幕府や徳川家の後始末を一人で引き受け
させられるところで終る。

・・・ちなみに自分の息子には、麟太郎という命名を
させていただいております。

・・・あとがきに、妾が6人で多くは正妻とともに
   同居とある。。。。



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