子母沢寛の「勝海舟」を読んだ。 文庫で少々分厚い全6巻。
明治維新といえば、司馬遼太郎が描く 「志士」がポピュラーだが、こちらは 幕府側の人間の話である。
戦時中に新聞に連載されたものであるため 文体も古文的な部分やなにやら口語調な感じで あるが、これもなれてくると、小気味良い。
書かれた時代が今から比べれば、「江戸時代」もそんなに 遠い過去でなかったせいか、江戸っ子の市井が 生き生きと描かれている。
江戸城引渡しが無血で行われたのは、 官軍に西郷、幕府に勝がいたからこそできた 歴史的快挙であろう。 (官軍との交渉決裂の際は、江戸中に火を放つ 手筈まで整えていたのであるから紙一重であった) (当時の幕府の軍艦などからすれば、慶喜が恭順せずに 決起していたら、勝敗は5分5分。だが内戦に乗じて 西欧諸国の介入を招き植民地化されることは必然であった)
話は、海舟(麟太郎)の父の貧乏だが、 人情堅気な生活から始まり、その死後 べらんめぇ調の麟太郎が頭角しついには咸臨丸でアメリカへ行き、 最後は、幕府や徳川家の後始末を一人で引き受け させられるところで終る。
・・・ちなみに自分の息子には、麟太郎という命名を させていただいております。
・・・あとがきに、妾が6人で多くは正妻とともに 同居とある。。。。
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