かなしいうわさ
home 日記の表紙 前↓ 次↑


2006年07月29日(土) フジロック感想文 2日目

雨は降っていなかったので、暑くて7時位に起きてしまう。扉開けて2度寝、9時過ぎにタラリラっと起床。徒歩で本陣へ風呂借りに行く。露天最高〜。戻ってから、昨日のソーセージの残りをボイルしてホットドックを作った。これがまたうめええええ(´π`) 会場で屋台を出して売ったら良いという位。





まだ雨は降っていない。張り切って出陣。
グリーンに陣地作成。モーサム・トーンベンダーが演っている。うーんちょっとうるさいな(;´Д`)歌詞が一筋縄ではいかない感じで面白い。10代の頃なら夢中になっていたかもしれない。
退散して、ホワイトステージのイースタンユースへ。








Eastern Youth


途中まで川で聴いて、その後ステージの3人が豆粒くらいにしか見えない場所で観戦。
激情に溢れたその音は、青く暑く晴れた苗場の空のなかで少しもいじけることなく響き渡った。
最新作で久々にアルバム聴いて関心してたんだけど、新しい曲も昔の曲も等しくビンビンに響いてくる。
素晴らしい。単独公演を観に行かなければ!






今年から通れるようになった新しいボードウォークを通ってグリーンへ戻る。







King Tones feat.ジミー入枝
開始前から最前列へ突入。人が多くてゴミゴミしている今年のフジにしては異例の空き具合。フジつうより春一みたいな空気です(´ー`)
リーダーの内田さんが病気で倒れてから2度目のステージ。前回は未見なんだけど、内田さんは病み上がりで実は殆どうたえていなかったらしい。でもホワイトからグリーンへと集客のでかいステージになって再登場ということは、きっと大丈夫なんだと信じて待つ。
そして開幕。内田さんは杖を付きながらだけど、誰にも支えられることなくひとりでステージに登場した。そして、持ち前のファルセットは出ていなかったけれど、力強いヴォーカルを聴かせてくれた。CDで何度も聴いた、丁寧に着実にひとことひとことメロディを刻んでいくあのヴォーカル。ちょっとよたる部分もあるけど、それすら魅力的だ。MCも達者で会場をホクホクさせていた。

ライブ自体は、ソウル、R&B、ラケンローの名曲を気持ち良いコーラスで彩っていく力強く心底愉しいエンターテインメント・ショウ。
オリジナル曲は「グッドナイト・ベイビー」のみ、他は全てカバー。革新的なことは何ひとつないステージかもしれない。オールドタイマーによる歌謡ショー、なのかもしれない。だけど、カバー曲ばかりでスタンダードなアレンジなのにそれでもなお彼ららしい音になっていたこと、そしてそれが他では代えが利かない魅力を放っていたこと、そしてなによりその場にいる人を楽しませようと強く強く思って演奏してくれたこと。ラケンロー・ショーにその他に何がいるというのか。 今回見事なファルセットを聴かせてくれた内田さんの弟子、ジミー入枝さんのサイトに、今回のステージに向けて内田さんから貰った言葉が載っている。
"今度は3万人だョ。その観客のハートに届かなくちゃならないんだ。ジミーは身体がデカいんだから息を沢山吸って沢山出す。
そしてナ、雨が降ったら雨が降ってる感じで、太陽が眩しい時はそんな風に、もし、星空の下で歌う時は星空ってェ風に、自然を感じながら歌うんだョ。"
  鹿児島発世界行のDOO-WOP:ブログ
感じたよ。あの山ん中であなたたちの歌を聴けて感じられて本当に良かったよ。

内田さん、入枝さん以外の方も皆すばらしかったが、とくに成田さんというテナー担当の初老男性の身のこなし、立居振舞いのすべて、そして爽やかすぎる笑顔がとても素敵でたまらんかった。ずっと真似しながら踊った(´ー`) このライブ以来、ライブで体を揺らすときは必ず成田さんの身のこなしを思い浮かべています。
力を貰った良いステージでした。本当にありがとう。








終わった途端にひどい雨。ゴアテックスの雨具を羽織って、ぼちぼちと最奥地のオレンジコートへ向かう。







Big Willie's Burlesque


昼飯のカレーを食い食い観た。ジャズの名曲をタイトでダンサブルに鳴らす。で、その後ろでダンサーの女ふたりが胸やケツをプルップルさせる。
人の体の一部はこんなにプルップルするもんなんか、と感心してしまうくらいプルップルしてた。今年のバカ枠はこいつらだったか。
この人ら、ダンサー含めて普段は場末のバーでこれと同じライブやってるんじゃなかろうか。キングトーンズに続き極上のエンターテインで満足。







しかし完全に雨模様になってしまった。合羽を着ているとは言え、ちょっとシンドイな。そのままヘブンに移動して、Benevento/Russo Duoを観る。キーボードとドラムの二人組。格好良い瞬間は度々訪れたけど、ジャムっつうよりはデジロック的な快感の持ち上げ方をしているのでどうも馴染めず、性に合わず。でも会場は盛り上がってた。









木村のおっさんを観にオレンジへ戻る。

木村充揮


春に春一番で観たときに大感動してほろりと来たほぼ弾き語りの渋いセットとはうって変わり、この日はロックフェス仕様でドカドカうるさいラケンローバンドを引き連れてヘコヘコと登場。いきなり「嫌んなった」で思い切りガナってスタート。いっっっっやんなったあああああ、もおおおだめさああああああ。盛り上げるのもお手のモノだなあ。ざんざ降りの雨すら祝祭に変えてしまうようなパワフルなライブ。降れば降るほど心がビリビリ震えた。で、最後はやっぱり「ケ・セラ」でほろりと来た。ライブが終わったあと、顔が涙でグシュグシュになっている女子を4人ほど見た。一番グシュグシュだったのはヤツザキさんでした(´ー`)








その後、アヴァロンにて
アコギなSS(仲野茂&下山淳)
をラスト3曲位。


クソッタレな社会とそこでもがくオレ(達)、が基本になっている歌詞には全く同調できないけど、退路を断ってギリギリのとこで唄をうたい続けているのはよーくわかった。とても格好良かった。ラストソングは「Knockin' on Heaven's Door」の日本語カバー。遠藤ミチロウによるすばらしい訳によるそれとは大違いな青くっさい歌詞だったけど、ぐっと胸を掴まれた。








そのままアヴァロンで湯川潮音をチラリと。アコギなSSとは見違えるほど満員なアヴァロン。果たしてその演奏は、まあ普通でした。トラッド・フォークを素直に唄う素直な女の子。悪くないけど、ここまで客を動員するほどの突出したものは見出せなかった。
でも最前列がかわいい女の子揃いで皆ニコニコして体を揺らしていたのが微笑ましかったので問題なし。
ここでケンゴーさんが帰宅。がっちりと硬い握手をして別れる。また来年もぜひね。








歌モノホーダイですごいらしいという電気を蹴って、ヘブンのストリング・チーズ・インシデントへ向かってヘブンへGO! ...のはずが、ヘブンへの道の途中にある木道亭で演っていたILLをじっくり観てしまう。
ILL with 勝井祐二


宇川直広のBGV、ILL(元スーパーカーのナカコー)のチルな音源、それに乗る勝井祐二のかすかなヴァイオリンの音色が、真っ暗な森の中に絶妙に絡み合ってビッグ・チルった。 あらら、チーズはじまってますよ?と思いつつも座り込んで魅入ってしまう。あげく気持ち良過ぎて寝てた。結局最後まで観てしまった。





終了後、のらくらりとヘブンへ赴くと、ラテンのバンドのようなファンキィビートでチーズがお出迎え

String Cheese Incident


ロックバンドというより、ブラジルあたりからやってきたフォンキィフュージョンバンドつう感じで大変気持ちいい。。スムースかつグルーヴィィィィ、かと思うと歌メロがまったり牧歌的だったりしやがるんだ、憎いぜこのやろう。開始から1時間くらい経っていることもあって会場もホットなかんじ。ああこの空気、いるな後ろのほうにバカちんどもが!と思ってPAブース裏へ行くと、案の定。狂ったようにワキャワキャと、はたまたたらりらりとテキトーに、さもなくば泳ぐようにヒラヒラと、思うままに踊るバカちんどもがいたいた。混じって踊る。アハハこりゃ愉しいやアハハヽ(´ー`)


しかし飽きた。


長いセットだから、俺が見始めた時間がちょっとダレる時間だったのかもしれないし、初めからちゃんと見ていなかったから流れに乗れなかっただけというのもあると思う。だけど決定的になじめなかったのは、彼らの音楽に摩擦とか軋轢とかササクレだちとか、そういうものが全くなかったことだ。演奏もうまいし曲もいいし曲展開もホレボレする位格好良い。だけどスムース過ぎてぜんぜんひっかかりがないんだ。生きてればあるでしょう誰にでも心にササクレが。それがこの音楽には全然ない。幸せだけで形成された、つるりと美しい理想の音楽だと思う。だけど、俺の生きている世界じゃないところで鳴っている音楽じゃないように思えて仕方がなかった。たとえば、ラテン音楽って陽気なら陽気なほど悲しいじゃない。ファンクもブリブリなほど悲しいじゃない。ダブだってベース音が厚ければ厚いほどに悲しいじゃない。ボガンボスどんとのノーテンキさってとてもとても悲しかったじゃない。そういうのがない音楽には俺は入り込めないんだなあ。悲しい寂しい奴だなあ。今日こそはあこがれのあの地へ、めくるめくジャムバンドの世界に、足を踏み入れることができるかなぁ...と思ってたんだけど。







なぜか悲しくて悲しくて泣きたいような気分でヘブンをあとに。トボトボとアヴァロンへ向かい、ああもうレッチリも間に合いませんよどうしろっていうのウヘヘ、とやけ酒を煽っていると、アヴァロンでダブル・フェイマスが演っている最中。いやこの人達のライブあんま好きじゃないから...あれ、ややや、いいかも、いやいいじゃない、いいぜヤホー!!

Double Famous


この人達の音楽は好きだ。でも器用貧乏で小粒な感じがするんだ。陽気な音楽をやっているのに、ただ陽気に聴いてもらっちゃ困るんだよねつう感じで、ブワーッと突き抜ける瞬間をわざと回避しちゃうようなところも好きじゃないなぁと思っていた。でもチーズを観たあとだからかもしれないけど、この日のダブルフェイマスは、ケレンみのない、ラフで粗野で、まさしく俺の住んでるこの場所で鳴っている近しい音楽に聴こえたんだ。最前列にいって踊っていると、ちょっと尋常じゃないテンションでコサックダンスぽい踊りをしているバカちんどもが。ああ、悪ノリだ、バカだ、どうしようもないわ、俺の知っているいとおしいバカどもだ。そのバカにつられてやってきた白人女性チームもパカパカ踊ってバカだ。曲間でのMC「前の人、踊りすぎてコケないようにね」に対して「おおお!それはフリですか!」と叫んで、次の曲が始まったら早速おもいきりコケるバカども。そんなシチュエーションもあってか、とてもとても楽しい気分になることができた。なめててすみませんでした、単独行きます。






やあ、チーズもレッチリも蹴って正解だったかもねーヽ(´ー`)ノとビールくいくい飲みながらちょっとだけ川で昼寝。いや夜寝か。その後、グリーンステージのレッチリへ。
辿り着くとグリーンはすごい人だかり。ステージではジョンがギュアンギュアンとギターを唸らせている最中。いやいやいやいや、やっぱりすげえやジョン、魂がもげそうなヤバイ音を出している、くうーこれはたまらんなあ、このギターには悪魔がついてると思う、確実に悪魔と取引してる、明日あたり死ぬんじゃないのか(;´Д`)
ここで皆と合流し、レッチリ馬鹿時代の名曲「ミーマミーマミーマミーマイフレーン!」に後髪をひかれつつ会場をあとに。






混みすぎて朝の山手線みたいになりながら帰るよりは、早めに離脱してギャズのDJでワキャワキャ踊るほうがよかろ、という判断。
Gaz's Rockin' Blues


今年のパレス・オブ・ワンダーはこんな感じ。外から見た入り口の写真。でかい!内装も格好良かった。こんなクラブが普段からあったらいいのに、という位。
ギャズは銀ラメのスーツに身をつつんで登場。初手からハウンドドッグテイラーの「シェッカマンネメイカ、ギュワワワワワワワワワワワッワワワワン」などかけられたので冷静でいられなくなった俺はガラガラのフロアでひとりバカ踊ったのです。さてギャズはといえば。7インチかける。ステージ出てきて踊る。曲終わる。7インチかける。ステージでポーズをきめまくる。7インチかける。以下略。あいかわらずだなあ愉しいなあ(´ー`) 程なく適度に埋まったフロアは、ギャズのかけるラケンロー、ブルーズ、R&B、ジャズでワキャワキャと踊りまくるナイスな空間に。こうして古いラケンローで踊っていると、ロックやブルースは大人がまったりと愛でるものでも、ただのオールディーズなどでもなく、もともとはただただ極上のダンスミュージックであったのだなあと再認識できる。ブルースで踊るのはとても愉しい。
30分ほどで、ポニーテールの彼女(奥さん?)にDJチェンジ。 (ギャズが用意してた)7インチかける→ステージでダンス→曲終わる→7インチかける→針とんじゃった〜、失敗失敗、テヘッ!→かける→踊る ギャズと同じじゃないか同じじゃないか。選曲良いので楽しいよ。いろんなタイプの人が入り乱れて踊っているのが楽しい。
たいまつを持った女性によるファイヤーショーを挟んで、山名昇のDJ。テキーラ!ではじまるブギーなスタート、徐々にレゲエに移行。構成とか選曲の妙ということでいうとギャズより山名さんのほうが上手いわな。格好良かったです。

頃合を見計らってPOWを脱出。いつの間にか入場規制がかかっていて、外に人が溢れていた。やっぱりレッチリを見切ってこちらに来て正解だった。 山名さんを途中で出てきたのはヤパニ!を観るため。ヤツザキさん主催「スナックwell来夢」でDJやってたるっぱさんが在籍のバンド。音に触れるのは初めて。すぐ近くにあるルーキーステージへ向かうと既に人だかりができている。10年間フジに来ているけれどルーキーステージをちゃんと観るのは初めて。





ヤパニ!
ブラス隊を中心にしたインストバンド。ラテン〜サルサなノリ、ちょいロッキン。モリモリと盛り上がり大変たのしい気分になった。日本人のラテンバンドは本場の真似、パチモンになっちゃってるのも多い。本場ものとの差異をギミックで乗り越える器用なバンドもあるけど、所詮付け焼刃なのですぐに飽きてしまう。このバンドはメンバーがやりたいことをジャーン!バーン!とやるだけで彼らの音になっていた。巧いヘタとかじゃなくて、音楽的基礎体力が高いんだよな。皆達者なうえ本当に楽しそうで格好良かった。特に鍵盤の女子は凄かった。只者ではない。





これで今日は打ち止め。楽しい一日だった。車に戻ると昨晩の残りの肉で作られた野蛮なクイーンズ・プレートが用意されていた。腹減ってねえよ。死ぬ気で喰う。そのまま倒れる。











前↓ 次↑


石井 | home