うちの会社は社長の持ち物のアパートの中に入っています。大家も兼ねてるので、月一で茶封筒に家賃を入れた住民の皆さんがやって来ます。なんで引き落としにしないのか少しばかり謎ですが。 そんなアットホームな雰囲気に引かれてというわけでもないでしょうが、アパートの壁にある窓枠などの出っ張りに大量に鳩が居着いておるのですよ。鳴き声はそれほどでもないのですが、問題なのは地面にまきちらされる大量のフン。これから夏に向かって温度も湿度も上がっていくことを考えると、放置しておくわけにはいかない問題です。掃除も一苦労だし。 なので手っ取り早い鳩対策として、社長自ら図面を引いて鳩対策工事に乗り出したわけです。図面と言ってもごく簡単なもので、出っ張り同士の間に十センチ間隔で針金を張って、鳩が入り込めないようにする仕組み。ただし四階立てのアパートの上層にそれを施すことになるので、専門の業者に高層工事用の特殊車両を頼み半日がかりで工事が行われました。 ですが、えーとね。その専門の業者さんというのがなまじ社長の知り合いで、気楽にわいわいやってもらったのがまずかったのかな。半分くらいは図面通りに工事してくれたんですが、残り半分針金を勝手に改造。塀の上を猫が歩けないように針金を植えてるアレをご存知でしょうか。ああいう感じにされてたんです。 うんと、鳩あんまり減ってない。いや前よりは少ないんですけど、あまり根本的な解決に至ってない気が。そんなに太い針金を使ってないので、多分鳩が体当たりして曲げちゃったんじゃないでしょうか。鳥目だから夜に突っ込んだのかも。 ていうか図面通りにやっておくれおじさん。
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