バターはとけていった。 |
本当のことをいうと、もうこの日記は書かないつもりでした。 過去はこれ以上いらないっておもった。
忘れられない記憶が増えすぎて、 前が向けなくて、だからもうこれ以上、って、おもってた。
いまのあたしには言葉なんかなくて気持ちもみえなくて。 このままじゃダメだって、いま、いるあたしを生きなくちゃって。
そのために過去はもう置いて 頭のなかに、心のなかにとかしてしまおうと。
つい、さっきまでは。
正直なことを話すと、ね。
ちぃのずっとずっと大切な『あの人』はリアルではなかったのです。
確かにいま現在、この世界に、日本に存在する人間ではあります。 それでも、ちぃの私生活とはかけ離れた人でした。
住んでるところも知らない、連絡もとれるわけじゃない。
一方的に、相手から放たれる情報を組み合わせて それでちぃは『あの人』を創りあげていったのです。
誰よりも愛する『あの人』を。
擬似恋愛、言われればそうかもしれません。 ちぃ自身わかってた。
ただ、悪戯に気まぐれに交わるいくつかの出来事に 気持ちは加速していくばかりで、いつしか壮大な世界になった。
本当に本当に大切だった。 それはうそじゃない。 でもそれは、『あの人』は、誰だったんだろう。
もうそれがわからないや。
傷ついてなんかいない。 ショックだなんておもわない。 嘘を吐かれたなんて裏切られたなんて、あたしおもってないよ。
きっとあたしは『あの人』のことぜんぜん知らない。 でも、みつめてきた5年間は確かに過ぎていった真実なんだ。
いいよ、それでいい。
なにを言ったて書いたって構わないよ。 どこにいてこれからなにをするんだって構わないよ。
笑顔でいる時間が少しでも長いのなら。
気持ちが解放されるのなら。
しあわせだ
って、
そうおもえるのなら、あたしはなにも構いはしません。
あたしは『あの人』の存在によって生かされているんです。
5年前も、いまも、それからたぶんこの先も。
一生かかっても理解なんかできないでしょう。 これ以上に近づくこともできないでしょう。
だけどね、『あの人』自身に否定された5年間は あたしにとって決して無意味なものではなかったよ。
いま、
あなたはあたしのなかでとけていった。
本当の『あの人』の言葉がきけて あたしはほんの少しだけ嬉しかったんだ。
だからわかって、
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2007年11月02日(金)
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