カウンターで目が合って。


思い出す


まだ一緒にいた頃 ふたり笑い合えた頃

お酒が苦手なあたしのためにあなたが作るのは

グレナデンをジンジャーで割ったあたしのお気に入り

クラッシュアイスをワイングラスに入れて

赤と透き通った金色の二層

混ぜたらなぜかオレンジ色で

チェリーが入ってたり レモンが入ってたり

いつも あたしのために作ってくれた

シェイカー振る姿が見られないのだけが残念だったけど

でも いつもあたしのためだけに


あの日あなたがあたしに出してくれたのは

ちいさなグラスに入った

いつもと違う白と赤の二層

グラスの縁から少し頭の出たピックをつまんで現れたのは

あたしの大好きないちごで

あなたが大きなハート形に切ってくれたいちごで

思わず笑ったあたしに

あなたもちょっと照れて得意げに笑った


今も

メニューで見かけたら必ずオーダーします

でも あの頃飲んでたみたいな味はしない気がします

アイスはクラッシュじゃないしグレナデンは濃すぎるんだ

あなたが作ってくれたときのような完璧な味は

きっともぉ飲むことは出来ないんだね


当たり前だけど

ハート形のいちごにも

あれ以来出会うことはありません


きっときっと

あれがあたしにとって幸せな味で幸せな形だったんだろうって

本気でそぉおもいます

バカみたいだけど本気で


だからまた今日も思い出してしまうよ

2007年04月27日(金)

魔法がとけるまで。 / ちぃ。

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