過去すらも愛せたら。


あたしたちはお互い、出逢ってすぐに恋に落ちた。

それは気のせいなんかじゃなくって、
お互いに感じるなにか、どこか通ずる回路があるって、
そうおもって、それを感じて、ごく自然に惹かれあった。

『ゆぅき』っていう『彼自身』をあたしは好きになったんだ。

過去なんて関係ない、なんて胸張って言えないけど。
だけどそれ以上に彼という人間を愛しく想うあたしがいる。


それが、すべてなんだけど。

それでぃぃはずなんだけど。


割り切れない気持ちが渦を巻いて心を濁して。
底のみえなくなったあたしは灰色になった。



彼の首に纏わりつく銀のプレート。 

あたしを抱き締めるときも、キスするときも、
「好きだよ」って耳元で囁くときも、彼の胸元で輝いてる。

いつも外すことのないそれには、ある命が眠ってるんだ。


ゆぅきが抱き締めるはずだった小さな命。
生まれてくるはずだった、小さな小さな命。 

不運にも産声をあげることなく散った小さないのち。



なんだろな。
付き合う前から知ってたことだから、嫌だとはおもわない。
ショックとも嫉妬とも違うんだ。
あたしの手に及ばない過去に嘆いたりはしないし。

逆にちぃは、ゆぅきがそのことをきちんと受けとめて、
今も自分のなかに留めておいてることを素晴らしいとおもう。

ただね、あたしはその命を授かった元婚約者の女のコと、
同じくらい愛せてもらえてるのかな、なんて。
あたしが心から彼を愛したらいつか、愛してもらえるのかな、

そのヒト以上に。


気持ちの重さを量るのも比べるのも間違いなんだろうけど、
でもどうしても頭を離れてくれない。

知らないことが多すぎて、
違う時間が、生活が、世界が、不安を募らせるばかり。
2006年05月03日(水)

魔法がとけるまで。 / ちぃ。

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