たとえひとりきりでも。


そのとき、意思の疎通がウマクいかなくて
携帯の電源オフにした途端、あたしは泣き出した。

いちばん助けてほしかったのに。

涙声にすら気付かず笑ってた、そんなマキに、
勝手に傷ついて、ぜんぶ見失った気でいた。

あの日。
このままひとり車でどこまでも走ろうって。
走り続けて消えてしまおうって。
本気でそうおもったの。


返す言葉やセリフがどんなによそよそしくなっても
もぉマキは昔のようにあたしで揺れたりしない。
どうして、それだけのことがこんなに悲しいのかなんて
そんなこと、あたしにもわかんないよ。


大人はなんでも理由をつけたがるね。
衝動は理性で抑えつけて、情意は二の次、三の次。

あたし、は、なりたくないな。
心を亡くすなんて。
せめて自分自身にだけはいつも素直でいたい。
曲げることなく、誤魔化すことなく、いたいの。


強くなること、と、痛みから逃げることは違うのに。


あたしちゃんと言えるよ。
あの人をきっとずっと好きなままだ、って。

いくら惨めだとおもうことがあっても、
どれだけ虚無感にさいなまれることがあっても。
嫌気がさしても、腐ってもきっと。


あの、才能に惹かれた。

紡ぎ綴る言葉に惹かれた。

真っ直ぐな心に惹かれた。

笑ったときのかわぃぃ顔に、柔らかな声に、

力強くてあったかな手に、あたしは惹かれたんだ。


ないものばっかりじゃなくて、
あるものをひとつひとつ、数えよう。

知り得る真実と過ごした過去と

それから、

確かに存在するあの人。

それだけで十分じゃないか。
2005年10月12日(水)

魔法がとけるまで。 / ちぃ。

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