手紙。 |
封を開いて目に飛び込んできたのは、 あなたのイメージ通りの、少し乱れた文字。
『---ちひろんへ』
呼び捨てでもない、ちゃん付けでもない。 不思議な距離。
軽い、眩暈がした。 あたしの存在が、やっと認識されたみたいで。
あなたへの想いが、溢れるみたいに、 それは沢山の涙になって流れた。 霞んで見える、あなたの文字。
『みんなが笑ってるの好きだよ』
あたしだって、あなたが笑ってるの大好きだよ。 だって、あたしが笑うのは、あなたが笑ってるからだもん。 あなたの事、大好きだからだもん。
あたしはもう戻れない想いを自覚した。 戻れないなら、進むしか、ないんだけど。 あたしは此処から、進む事が出来ない。 でも、戻る事も出来なくて。 ただ、立ち止まるだけで。 ただこの場所で、あなたを想う事しか出来なくて。
こんなあたしの気持ちを、あなたはきっと知る事はない。 もし、素直に云えられたら、どんなに楽かなぁ。 それとももし、あなたの隣を歩けたら、どんなに幸せかなぁ。
だけど、実際。 この想いに行き場所は無くて。 あたしの中から出る事さえ、許されなくて。 でも。
『頑張ろうねー。』
あなたを忘れる方法なんて、思いつかないから。 うん、頑張る。頑張ろう、ね。 あたしの、この恋の炎が、燃え尽きるまで、 あなたを見つめ続けるから。
だから、どうか。
どうか、許してください。 あなたを、好きでいさせてください。
あと、もう少しだけ。
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2002年12月19日(木)
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