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■ 学生が死と向かい合う事
もう、毎朝寒いぐらい。
ただいま古巣での実習は3クール目。 前のクールは夏休み前の 6月末から7月だったんだけど その頃の患者さんがまだ残ってる。 本来なら7月中には 外来ケモに移行するはずだった患者さんが 何やら激ヤセして病棟を歩いてる。
気になるからカルテを見たら 元々はケモ後の白血球の立ち上がりが悪くて 退院できずにズルズルとケモを続行。 そうしてるうちに 膵臓の原発巣が大きくなって 隣接臓器の十二指腸に浸潤、潰瘍ができて そこから大量出血したらしい。
そこから患者さんは絶食。 内視鏡下で何度か止血したらしいけど 所詮効果は一時的。ケモも無効で根治は無理。 と言うことで外科でバイパスを作り 何とか経口摂取ができるようにして帰そう と言う話になった。 あくまでも姑息手段なので患者さんの予後は かなり厳しいところまで来ているのは間違いなし。
で、夏にその患者さんを受け持ってた学生が 今は同じ病院の外科病棟で実習中。 彼女はてっきり患者さんが 退院していると思ってたから私の話を聴いて驚く。 彼女は今日が実習最終日だから 患者さんに会って話をしたいと言い出した。
患者さんと学生の出会いなんて 本当にものすごい縁だし 彼女は浅いながらも患者さんの事を 必死に理解しようとしてた。 受け持ってた夏から時間は経ってるけど 患者さんの事を細かく覚えてて その人の事を大事に思ってるんだというのが 私にも良くわかる。 と言う事で一緒に患者さんに会いに行く。 事実上、今生のお別れ。
患者さんはとても驚かれたけどニコニコしてた。 「痩せてしまって・・・」って言われた時は 学生も絶句してたけど暫くお互いの近況報告。 患者さんは学生とよく 息子の話をしていたらしいけど 夏の間にその息子の就職も決まったらしい。 それを聞いた学生は本当に喜んでて 実習中に「共感って何ですかぁ〜」とか 悩んでた学生だったけど 今は本当に患者さんと一緒に喜んでる。 やっぱ、頭で考えるばかりでもないよな。
「手術頑張ってくださいね」と挨拶して退出。 で、学生のほうを振り返ったらいきなり泣いてる。 「先生、もう本当に○○さんって 命が残り少ないんですか?奇跡ってないんですか? あんなに真面目に一生懸命生きてきた人なのに」 って言いながら涙ボロボロこぼしてる。
「きっと大丈夫」ってごまかしても意味がない。 きちんとフォローすれば学生のうちに 人が亡くなるという事に 直面する体験があってもいい。 だから「うん、ガン自体を取る手術じゃないし 病気がどんどん進んでの今回の出血だから 息子さんの入社式まで生きられるかも 本当のところ定かでないよ。」 また泣く学生。
二十歳ちょっと超えたとこで、まだまだ若く なかなか患者さんの細かい心理が 理解できない学生かと思ってたけど それでも患者さんを大事に思って 心配して心を傷めてる。
沢山の患者さんを見送って 「人が亡くなるのは淋しいけど避けられない事」と 実感して割り切ってる私と 精一杯その命を「何とか助からないか」 と惜しんでる学生。 知ってる者の強みより知らない者の純粋さに 何だか心がジーンとする。
頑張れ、市子。
2003年10月02日(木)
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