毒茄子
レガお君



 普通って何?

日曜なのに早くに目が覚める

枕もとにあった本に手を伸ばす。
「ナースによる心のケアハンドブック」
精神看護学の教員に教えてもらった本で
精神科領域の現象理解と介入方法が
きれいにまとめられてる。
良くない自分の精神状態を思いながら
パラパラ本をめくる。

今の私は結構ウツ。
お酒飲まないと眠れる気がしないし
何もする気がしないから部屋でぼんやり坐ってる。
何か始めても集中できず不安も強くて用心深い。
もともとの性格とかを読み進めていくと
多分に依存的で操作的でもあるし
魚に対してはアンビバレントな感情もある。

患者さんやスタッフとの人間関係は
かなりうまくやってた方だったのに
自分の実生活は何だかイマイチで変な感じ。
魚は魚で自己愛が強かったり
他人の自分に対する評価は気になるくせに
それを隠したいのか態度は異様に強気だったり。

本当に人の気持ちが見えてなかったり
見えててもストレートに反応できずに
誤解を招いたり敵を作ったりで
だからってへこたれもせず開き直ってマイペース。
それが2年前から全然変わってない。
→学習してない。
なぁんや、ある意味奴もビョーキやん。
病気の私が病気の魚に手をやいてる。

そういや昔、精神看護の授業で習った。
誰の内面にも心を病む素因は隠れてる。
だんだん、自分が病気に思えてくる。
介入の仕方なんて読みながら考える。
自分でどうにかするとなるとなかなか大変。

気を取り直して講義計画にとりかかる。
具体的な内容に砕くとなると
それぞれの単元の関連性やら流れやら
色々とってもややこしい。
あっという間に講義まで1ヶ月を切ってて
その間2週間は実習で精一杯だしで
なかなか切羽詰ってくる。

友達が電話してきた。
5月のバーベキューの幹事をしてた子で
いさお君とどうなったのかの把握をしたかったと。
で、かい摘んで報告したら「いいですねぇ。
楽しいお付き合いになればいいですね〜
私の所はもうダメです」
男性側の幹事さんと付き合ってる彼女は
上手く行ってないという。

なかなか自分に自信が持てないらしく
しょっちゅう「私なんか」を連発する彼女。
一緒にいて相手が黙ってれば
「私なんかといても楽しくないんやろうか」
と、くよくよ考え出して
「私から電話してばっかりで
向こうからは何のアプローチもない」って
完全に受身。

ただでさえ自分に自信がないところへ
気に入る男は野心旺盛で
バイタリティー溢れる男ばかり。
確かにそういう男の人は魅力的なんだけど
そんな奴が自信なさげな子のところに
じっと居るわけがない。
人に一目置かせるほどの何かが有るわけでもなく
その何かを作ろうともしない。それが一番問題。

私に仕事楽しいですか?と聞いて
「熱中できるものがあっていいですね〜」って
それは誰かにもらったモノじゃなくて
私が自分でつかまえたモノなんだから。
私は私で今の精神状態は良くないから
話をきいててイライラする。
なぁんや。みんなビョ−キやん。

寝る前にいさお君がメールをくれた。
「仕事お疲れさん。週末楽しみにしてるで」
今日も会おうと言われてたけど
講義の準備も有るので断ったのを覚えててくれた。
ホタルがきれいな場所も探してくれてると言う。
こうやって、相手の言う事を覚えてて
それに反応できるのって当たり前なんだろうか?
それともいさお君がマメなんだろうか?

雑誌とかに載ってる世間の常識と思われる状況では
いさお君の反応はお気に入りの女の子に対する
ごくごく普通の行動であるような気がする。
魚はいさお君ほど私の事を気に入ってはない。
出逢ったばかりのいさお君と
2年かけて馴れ合った魚とが
同じテンションなわけもない。
魚もいつかは、たとえ私以外の女が相手であっても
一生懸命相手のために何かするんだろうか?
いまいち想像つかない。

が、やっぱり魚の相手は疲れる。

2003年06月08日(日)
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