六月の雨は大洪水となり、欲望の蛇が青い都市に放たれる。
2004年06月08日(火)
今日は、映画の話。
正確に言うと日付ずれるんだけど、
明けて9日午前3時くらいからCATVで映画を観ていた。
「六月の蛇」
2003年、日本。R-15指定。
監督の塚本晋也は役者としてしか知らなくて
かなりすごい映画を撮ってるらしいと前々から興味は有り、
CATVでこの作品をやるのを知って見ることにしたのだ。
主な登場人物は3人。
ある夫婦と、その夫婦を監視し脅迫する男。
夫は潔癖症で、妻の身体には触れようとしない。
妻は満たされないながらも夫を愛していたが
ある日突然、男から盗撮された写真が送りつけられてきて
脅迫され要求に従うことになってしまう。
ま、詳しいストーリーは上のリンクから見てもらえると。
(今日のタイトルも公式サイトの中からいただきました)
作品は、青を基調としたモノトーンで
全編雨が降りしきっている。ずーっと、雨。ものすごい雨。
妻が盗撮され脅迫されという前半のくだりは
よくある官能モノっぽいんだけれど
その色調と雨の描写、
そしてなにより感情の揺れと同調するかのように振動する
独特のカメラワークによって一味違って見えた。
後半、男の脅迫が夫にまで及んでくると
世界はもっとディープになり
狂気は真実味も持って人間の確信へと切り込んでくる。
生と死、そして愛へと。
画面から伝わってくる緊張感がすごい。
主演の黒沢あすかが、何しろすごい。
男に脅迫されるがままに行動した時の羞恥に狂いそうな表情と
後半の、心も身体も解き放ったあの雨の中でのシーン。
もう官能とかそういうアレじゃないよ。
なんて切ないんだろう、と。
特に雨の中で心身ともに解放されたあとの彼女の微笑み。
背筋がゾクッとして、泣きそうになった。
蛍光灯の点いた朝4時の自分の部屋でだよ。
そして塚本監督自身が演じていた、男。
平たく言えばストーカーなんだけど、こいつ報われない奴で。
これまた切ない。
この男が画面にパッと映っただけで、ビクッとするくらい
独特の存在感というか圧迫感というか。目が怖いの。
でも、声はエロい。
電話で女と会話する時の声がねぇ。エロいの。
「ねえ奥さん…」とか言ってるわけじゃないよ。
声そのもののトーンとか、雰囲気が。さすが監督。
夫の役も良かったけど、私には他の2人の印象が強すぎて。
欲望の歯車の狂いから始まった物語で、性描写もあるけど
3人の関係性はあまりにも精神的というか
直接触れ合うということはほとんどなくて
間の距離をうまく埋められないまま。不器用で。
だから、切ない。
愛の形だとか、ガキの私には語れない部分が多すぎるけど
なんて切ない映画なんだと思った。
この作品の世界は本当に映画でしか表現できないものだから、
くっそー、これぞ映画だよなぁ。と思ったりもした。
途中で急にSFちっくな表現が出てきたりして
あれが監督のワールドなんだろうけど…必要なのかあれは。
そのへんの部分はわかんないし
映像的にも凝ってておもしろいんだけど
実にシンプルな純愛映画だったんじゃないかという結論です。
あくまで私は。
いや、変なのは変なんだけどさ。
監督のほかの作品も見てみたくなった。
あ、でもしばらくは良いや。時期を置いて。
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日記。
学校では今年卒業したばかりの先輩の特別講義。
終えて、区立図書館でいろいろ物色。
その後、渋谷でバイトの面接。道迷って多少遅刻。
結果は今週中くらいには、とのこと。どうなるかなぁ。
タワレコに寄って、きのうを引きずりワッツを試聴。
ついうっかり長居しちゃうなぁ、レコード屋は。
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