新知庵亭日乗
荷風翁に倣い日々の想いを正直に・・・

2002年11月08日(金) 盲聾のA君

 今日は今のShinchanのお話です、Shinchanは筑波大学附属盲学校音楽科で目の見えない中高校生の音楽科の学生に邦楽打楽器を中心に幅広く民族音楽を教えています、この前の定期演奏会ではShinchanの作曲した「東の海の風」を演奏しました、当日Shinchanはお仕事で彼等の演奏を聞く事は出来ませんでしたが、概ね好評だったようです。
 盲学校の学生達はやはり耳が良く、感が良く、Shinchanは楽譜にしないで、全て言葉によって彼等に伝えました。
まずジャワ島のガムランが夜明けを告げます、そして鳥達が囀り始めます、そしてそれに呼応するかのように、太陽が昇ります、やがて島の人達が太鼓を持ってきて実りの感謝の踊りを始めます。
ガムランの楽器の説明

http://www.jp-kyoto.co.jp/gamlan/gakki.html
(京都国際現代音楽実行委員長:中川真先生監修)

 やがて一番星が現れ、海鳴りが聞こえて宇宙の歌をガムランで謳歌して眠りにつきます。という構成の曲でした。
 現在筑波大学附属盲学校音楽科の学生達に邦楽専攻の学生はいません。昔は宮城道雄先生や琵琶の先生のお蔭で邦楽専攻の学生がいましたが、時代の流れでしょうか、現在はピアノ・ヴァイオリン・声楽専攻の学生に限られています。

 Shinchanはオランダのユトレヒト総合大学で聾唖の子供達に対する療法の研究会に参加しました、それはこのえんぴつShinchan日記の番外編をご覧下さい。
 
 Shinchanは盲聾のA君と始めて会いました、目がねをかけて大変利発に見える少年です、Shinchanは楽器の響きが良く伝わるようにジャワ島のガムランを叩く事にしました、A君は少し見えて、少し聞こえるそうです、担当の先生は指点字と手話でShinchanの言葉を伝えます、それは正にサリバン先生のようで大変なお仕事だと思いました。
A君にまずゴングを叩いてもらいました、真ん中のおへそのような出っ張った所を叩くと良い音がするのを体得しました、そして沢山並んでいるのはボナンという楽器です、A君は端から順番に叩いていきます、そして何個並んでいるかということも手話で話しました、Shinchanが「もっと自由に叩いていいよ」というと「何故?」という手話の返事が返ってきました。
 担当の先生によると規則正しい事が大事であるという教育をしているので「自由に」という事が伝わらないそうです。
 ShinchanはA君の手を取ってまずゆっくりアットランダムに叩きました、そしてそのようにA君も叩きました、今度は狂ったようにメチャメチャ叩きました、A君もメチャメチャ叩きました、ニコニコしてました。嬉しそうです。









 !!Shinchanは気がつきました、A君の叩き方は誰にも教わった事がなく、見た事もないのに、それは基本に則った素直で無駄のない叩き方でした。!!Shinchan吃驚!!
 「本当は体育の授業なのに・・・」とA君が言いました。「いいんだよ、太鼓の奏法は体育と関係があるのだから、いつかわかるよ」

メチャメチャ叩いていた時、Shinchanは自閉症の子供時代に戻っていたのです、A君の可能性を感じました。
・・・またいっしよ・・・あそぼ・・・Aくん・・・あえて・・・よかった・ネ








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