【へたれ大学生日記】

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ココロの風邪
2003年11月15日(土)

風邪っていうのは、自分の意志では治せない。
「鼻水ぐずぐずするし、身体はだるいし、苦しいから、私、明日から風邪ひきやめます!」
って言ったって風邪が治るわけじゃないってこと。
先月終わりにひいた風邪は、そのまま長引いて悪化し、心まで風邪をひいてしまったようです。

あれもイヤ。これもイヤ。
上も下も、右も左も、全部イヤ!
そして、真っ白な空間に一人で立ってみた。
まわりをすべて追いやって、一人で立ってみた。

孤独。

イヤだったのは、問題があったのは、まわりではなくて、私自身だったんだと気付く。

自分が今まで何を考えて生活してきたのか、わからなくなった。
私が今まで暖かいと思って過ごしてきた場所に居ることが辛くなった。
私の居場所が無くなったように感じた。

まわりの環境が変わったわけじゃない。
変わったのは私。
ひねくれて、勝手に輪の外に飛び出して、そして孤独を味わって。
幸せだった事に、気付くのが遅かった。


がらんとした空間に呆然と立ちすくむ。
風は障害もなく私目がけて吹いてくる。
帽子もコートも飛ばされる。
靴は輪の中に忘れてきたので裸足だ。
寒い。

襟元をぐっと押さえ、身体を小さくしている。
寒さに堪える私の耳に、笑い声が届く。
顔をあげる。
遠ざかったはずの輪は、意外なことに、すぐそこにあった。

私は手を伸ばしておそるおそる輪に近づく。
そして縁に辿り着き、立ち止まる。
みんなが気付いて声をかけてくれる、前とかわらず接してくれる。
でも。
縁にいる私は、中の暖かさがわかっただけ。
空気は顔にかかるだけで身体を暖めてはくれない。
足元から、背中から、冷たい風が私をおそう。

うまく輪をくぐることが出来ない。
見えない膜があるように輪は私を拒む。

でも本当は気付いてる
―――膜を作っているのは私自身なんだ。


風邪を治すには暖かくしてゆっくり眠るのが一番。
でも、薄着で震えている私は、スープも落としてしまった。
身体はどんどん冷えてゆく。
風邪はどんどんひどくなってゆく。
縁に座り込んで私は目を閉じた。



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