六本木ミニだより
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2024年10月07日(月) |
SHOGUNについて、見落としてはいけないこと(見落とさないと思うけどね) |
メルマガに書いたSHOGUNの記事の補足 9月21日の記事 (コピペして貼り付けてください) https://rawbeauty.seesaa.net/article/504922125.html
SHOGUNの主人公は真田広之が演じた家康をモデルとされる虎長様であるように見えるのだが、この話の本筋は「極東にやってきた、カトリックとプロテスタントの勢力争い」である。カトリック側もプロテスタント側も、あることないこと、当地の権力者に吹き込む。どちらも、自分たちを気に入ってもらい、日本を自分たちの陣地にしようと必死なのだ。
だから、SHOGUNを見て思い出したのは、ケイト・ブランシェットをスターダムにのしあげた、1998年の映画『エリザベス』である。エリザベスはたまたまプロテスタントの側に生まれたけど、自分で望んでそうなったわけじゃないし、王位はプロテスタントとカトリックで次々替わるし、そのたびに一族郎党殺されたり幽閉されたりで王家の血をひく人間はその特権階級どころか明日命をつなげるかひやひやしている。 日本にやってきたヨーロッパ人たちも、日本人からひとくくりに「毛唐」だけど、その中で丁々発止の鞘当をしている。
日本は神道=天皇家でその家が二つに分かれて権力争いをする、なんて、いう話はタブーになりこそすれドラマにならないのだが(日本の歴史でもときどき起こるけどヨーロッパのカトリックvsプロテスタントほど強く長くはない) でも、西欧世界で歴史ドラマを描くとき、カトリックとプロテスタントの争いって、ほとんどずっと尾をひいてるし、このドラマは、その争いを「なんか俺達、どっちかが一番えらいと思って争ってたけど、日本に来てみたら違ったよな、もっとすごい人がいたよな」という視点で描いている。家康ってこんなできた人だっけ? とむしろ日本人のほうが思う(大坂城の外堀埋めたよね)。ともあれ、この作品は、アジアに対する物見遊山の「東方見聞録」ではなく、西洋の宗教戦争(おびただしい犠牲が出た)に対する内省を含んでいる。タイトルにもしたけど、この西洋の対立は、感覚はあまり話題にしないが、見落としようがないほどしっかり描かれているプロットである。そういうの、ちゃんと描けたうえで、虎長様というアジアの哲学を持った侍が魅了を際立たせるのだ。
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