六本木ミニだより
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2006年11月10日(金) もしも「あなたのもとを去らないよ」と約束した人が去っていってしまったら…

 2007年2月に公開される『ルワンダの涙』、そういう映画でした。

 青年協力隊の一員としてルワンダにいるイギリスの青年教師、ジョーは現地の娘で走るのが得意なマリーと、なんとなく思いあっている。94年4月の暴動後、この学校を基地としていた国連軍が撤退を決めたため、ツチ族の避難所となっていた学校は、丸裸状態に。この国連軍の最後の撤退で、ジョーは、軍と一緒に引き上げてしまう。

 この後フツ族の虐殺の部隊となったこの学校は実在するが、ジョーは実在の人間ではない。マイケル・ケイトン=ジョーンズ監督によれば、彼は、「北側社会の人間の象徴」とのこと。途中までは人助けのつもりでやってきて、本当にいい人だったし、現地の人たちとも交流があった。しかし、最後の最後で「離れる」という選択をしてしまった人だ。

 5年後、虐殺を生き延びたマリーは、イギリスのジョーのもとを訪ねる。「なぜ逃げたのか」という問いに、ジョーは「死ぬのが怖かったから」ととても正直に答える。マリーはいう。「夜中に、生き延びようとして暗い道を走っていたら、あなたが私を実況中継する声が聞こえてきた。走っている間中、ずっと」。平和だった頃、熱心な教師ジョーは、よくそうやって彼女の才能を伸ばし励まそうとしたのだ。
 ジョーは最終的にはひどいやつであったが、人間の記憶というのはそういうふうには働かない。また、人間が全面的にひどいやつということもできない。マリーとジョーの複雑な関係が、とても人間を描き出していて泣けました。

 虐殺シーンは、『ホテル・ルワンダ』よりむごいし、ヒーローがいないところも考えさせる。


石塚とも |MAILHomePage

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